チームラボが夜の森にアート作品 宿泊施設の集客向上狙う
創輝(茨城県北茨城市)は、グランピングとコテージを構えた宿泊施設「五浦 幽谷隠田跡温泉 源泉掛け流し&グランピング」のオープンに伴い、デジタルアート集団のチームラボ(東京・千代田)と協業。宿泊施設の敷地内にある森に、チームラボによる夜間だけ展示する屋外型アートミュージアム「チームラボ幽谷隠田跡」を開設した。 【関連画像】森の中には、アート作品を生み出す様々な仕掛けがある(撮影/大山繁樹) 同施設は、2024年9月に開業。チームラボのアート体験に加え、温泉につかり、北茨城の海の幸を食べて、森に泊まる。そんな宿泊施設を狙った。 夕暮れとともに、夜の森が幻想的な空間に移り変わるアート体験は、宿泊施設の集客アップにもつながりそうだ。宿泊しない場合もアート体験はできる。 チームラボは「Digitized Nature」と呼ぶプロジェクトを推進している。「自然が自然のままアートになる」ようにした取り組みで、今回のアート作品もその一環。軽く登ったり下りたりしながら森を歩く、約1時間のコースだ。得意のデジタル技術を生かし、木々や谷間などにライトやケーブル、センサーといった様々な仕掛けを施し、森全体をアート作品に仕立てた。 ●水の上を歩ける仕掛けも 例えば、「幽谷の呼応する森」では、森の中を人が通ると周囲に光を輝かせ音色を響かせる。すると周辺の木々も次々に呼応し、光を輝かせ音色を響かせる。 「連続する軌跡」では、空間に書くという意味の「空書」を森の中にに表現。書の墨跡が持つ深さや速さ、力の強さを新たに解釈。「闇から生まれて闇に帰り、次に連続し、重なり、森と絡まり、森に溶け込んでいく」といったイメージを出した。 「海が立ち上がる時花が咲く- 五浦の海」は、森ではなく海岸に設置した。登り坂の途中で眼下の海岸線を見ると、暗闇の中で打ち寄せる自然の波を、赤や青のライトが映し出す。「海が力強く立ち上がり波が生まれたとき、花が咲く。その波が海の一部に戻る束の間だけ、また花が咲く」といったイメージを本物の波を使って表現した。 コースの最後が「隠田跡」「隠田跡の水鏡の道」。本物の棚田跡に水を張って池のようにし、ランプを設置した。一部に隠し通路があり、水の上を歩ける。 さらに進むと源泉掛け流しの温泉がある。内湯と外湯があり、内湯は男女別。外湯は水着で入る男女共通で、棚田跡と一体化したように見せている。アート作品に入り込んだ雰囲気を味わえそうだ。
大山 繁樹