KDDIが“ローソン経営”で狙う「シナジー」の中身 5000億円投資に見合うリターンを得られるのか
髙橋社長も9月3日に開かれた自社イベントの場で、「小売りの利益率は、通信よりも高くない。実は出資をしてから、半年間くらい、投資家に『なんでこんなところに出資するんだ』と言われ、抗弁するのが非常に大変だった」と明かしていた。 今回、ローソンを通じた自社事業強化に向けた具体策をいくつか示したとはいえ、5000億円という投資額のインパクトと比べると決定打に欠ける印象も受ける。投資に見合うリターンを得られるのかという観点では、具体的な数値指標の公表も限られていた。
KDDIは会見で、ローソンを通じた地域社会貢献など「ソーシャルインパクト」という言葉も強調した。公共の電波を使って社会インフラを支える通信会社として、ローソンの経営についても、純粋な利益追求にとどまらない意義を打ち立てたいという考えだろう。 携帯キャリアとして初のコンビニ経営になるだけに、まだ手探りの部分が多いことはたしか。だが、市場の懸念をさらに払拭していくためには、経済圏拡大などの具体的な成果を着実に示すことが求められそうだ。
茶山 瞭 :東洋経済 記者