小池都政の目玉政策「LED交換事業」開始 都内CO2削減どのくらい効果ある?
間もなく、小池都政の発足から1年を迎えます。現在も高い支持率を誇る小池百合子都知事は、就任直後から無電柱化の促進や働き方改革といった政策を次々と打ち出しています。しかし、それらのなかには前任者などから引き継いだ政策もあり、必ずしも小池都政オリジナルの政策とは言い切れません。 そうした中、都は7月10日から家庭内の白熱電球2個をLED電球1個と交換する新事業を開始します。同事業の開始に先立ち、都は小池都知事と“ペンパイナッポーアッポーペン”で大人気になっているピコ太郎さんが共演するPR動画を制作。その“熱の入れよう”から、LED交換事業は都の新しい目玉政策であることが窺えます。
2010年から都内の事業所にCO2削減を義務づけ
人口1000万人を抱えるメガシティ・東京は、大都市ゆえの問題を抱えています。たくさんの人が暮らし、多くの事業者が盛んに企業活動を行えば自然にエネルギー消費量は増大し、CO2やゴミの排出量も増えます。それは人が多く生活している東京では仕方がないこととも言えますが、それを理由に行政が環境改善に何もしないわけにはいきません。 都は2010(平成22)年4月1日から“東京都キャップ&トレード”という気候変動対策を打ち出しています。これらは、都内にある約1300の事業所にCO2の削減を義務づけたものです。 大規模事業所が排出するCO2や使用するエネルギー量は大きいため、“東京都キャップ&トレード”は、大幅なCO2削減・省エネに寄与しました。環境先進都市を目指す都は、2015年から“東京都キャップ&トレード”の第2期に移行し、CO2削減の目標をさらに引き上げています。
家庭の消費エネルギーは都全体の3分の1、削減のためLED電球普及に着目
大規模事業所のCO2削減、省エネ化を推進する一方で、これまで未着手だったのが家庭内におけるCO2削減・省エネ化です。 「家庭内で取り組めるCO2削減・省エネ化には家庭用燃料電池コージェネレーションシステムのエネファームなどがありますが、これらは導入費用も高額で設置に広いスペースが必要になります。そのため、これらを家庭内で普及させるには高いハードルがありました。そこで、もっと手軽にできるCO2削減策として考えられたのが、LED電球の普及でした」と話すのは、都環境局地球環境エネルギー部地域エネルギー課の担当者です。 都は2016年に環境基本計画を策定し、2000年度比でCO2排出量を30%削減する目標を立てています。その目標達成には、各家庭の協力が欠かせません。なぜなら、各家庭が消費するエネルギーは都全体の3分の1を占めているからです。 しかし、2013年度のエネルギー消費量を部門別に見ると、家庭部門だけが2000年度から2.8%も増加しており、省エネ化の取り組みが後退していました。そのため、都は早急に対策を講じる必要性に迫られていました。 「都内には約700万世帯が居住していていますが、そのうちLED電球を導入していない世帯が約280万あり、全世帯の4割を占めています。また、ほかの道府県と比べて東京都は単身世帯の比率が高いことも特徴です。2人以上で暮らす一般世帯と比べると、単身世帯はどうしてもエネルギー効率が悪くなります。東京都は単身世帯が増加傾向にあり、このままでは家庭内のエネルギー消費も増大していく懸念があったのです」(同)。 CO2削減・省エネ化に取り組む都環境局は、各家庭内の電気消費量のうち照明が約2割を占めていることに着目。照明の電気消費量を削減することが、家庭内CO2削減・省エネ化の早道だと考えたのです。