Amazon 、スマートカート導入拡大を試みるも「受け入れられない」食料品店
実店舗強化の背景にあるリテールメディア拡大構想
インスタカートは、スーパーマーケットに販売するAI搭載型ショッピングカートに広告を表示し、利益率の高い広告ビジネスから得た収益を小売業者に分配することで、このジレンマを軽減しようとしている。このグローサリーテック企業の広告ビジネスは2023年に8億7100万ドル(約134億円)もの利益を叩き出したが、これは全収益の30%近くを占める。インスタカートの広報担当者は、スマートカート広告から得た収益の何パーセントが参加店舗に分配されるかなど、小売提携の具体的な条件は明らかにしなかった。 同様に、Amazonはリテールメディアへの広範な進出の一環として、食料品店の実店舗を利益率の高い広告収入源に転換させるために一丸となって努力している。経済情報サイトのビジネスインサイダー(Business Insider)は10月、Amazonがダッシュカートにパーソナライズされた広告を展開しようとしていると報じた。Amazonは直近の決算報告で、広告売上高が前年比で27%増加したと発表した。 「店舗で、この種の技術革新を有効活用できるほどの量を販売するか、広告の効果を発揮できるほどの客足を呼ぶ必要があるということだ」とギルデンバーグ氏は述べた。「100%の自信をもって、そういう店舗が世界中にたくさんあるとはいい切れない」。 Amazonの巨大な広告ビジネスは、何億人もの買い物客から収集したファーストパーティデータをもとに構築される。食料品店にスマートカートを販売すれば、そこにある豊富な顧客データを得て、広告部門を強化するために活用できるため、得るものは多い。 グローサリーテック企業のスイフトリー(Swiftly)の共同創業者で最高イノベーション責任者のショーン・ターナー氏は「小売店の実店舗はAmazonに、同社がまだ征服できていなかった最後のフロンティアのデータをもたらしつつある」と語る。