【プレビュー】恒例の市街地ナイトレース…中盤戦から勢力図一新、昨季レッドブルが唯一取りこぼしたトラックで今季どうなる?第18戦シンガポールGP|F1
サーキット(マリーナベイ市街地コース)のレイアウト
19のコーナーを持つマリーナベイ市街地コース。その多くは市街地特有の直角コーナーが連続するレイアウトとなっており、加減速を繰り返すため、ブレーキ性能と力強い加速が必要とされる。 2024年のDRS区間はメインストレートを含めて4カ所に設置されているが、これらを駆使しなければオーバーテイクは非常に難しく、予選順位が大きくカギを握る。ガードレールに囲まれたコースは、わずかなミスをも許さず、セーフティーカーの出動率は驚異の100%。2時間レースになることも珍しくない。レース終了後には、盛大な花火が打ちあがり、レースウィナーを祝福する様子など、ナイトレース特有の魅力も見どころ十分となる。 なお2023年からはセクター3区間ターン15過ぎ、4つの直角コーナーがなくなり、ここがストレート区間となった。コーナー数は2022年までの23から、2023年は19に減少。そのため、2022年までに比べると高速特性がより強まる。 そして2024年はターン14~15のセクター3にもDRSゾーンが設けられることとなった。DRS検知ポイントはターン13の手前の一箇所となっており、ここでの位置関係によりターン13からの立ち上がり、ターン14の立ち上がりと、2度DRSを狙える。
2023年シンガポールGPの結果
2023年のF1第16戦(同年の15レース目)、シンガポールGP決勝は2023年9月17日行われた。 日没後の現地マリーナ・ベイはドライで決勝時刻を迎えた。第1スティントにほぼ半分のドライバーがミディアムを選択。トップ10は3番グリッドのチャールズ・ルクレールのみがソフトで、それ以外の9人がミディアムを装着した。11番手&13番手のレッドブル勢はハード、15番グリッドの角田裕毅はソフトを選択している。 レースがブラックアウトとなり、ソフトのルクレールが抜群の蹴り出しを見せ、カルロス・サインツ&ルクレールのフェラーリ1-2でターン1に入っていった。後方では角田がセルジオ・ペレスと接触しタイヤがパンクしたために、オープニングラップのターン14でレース終了となった。角田は前回イタリアGPのDNSに続き、2レース連続で不本意な決勝結果となった。 レースはサインツとルクレールがけん引する展開になり、以下ジョージ・ラッセル、ランド・ノリス、ルイス・ハミルトン、フェルナンド・アロンソという順番で戦局が進んだ。11連勝の懸かるマックス・フェルスタッペンは11番手スタートから、10/62周目には9番手までポジションを上げた。だがシンガポールのトラックは抜きづらく、RB19との相性も良くないことからなかなかオーバーテイクができず。 1-2のフェラーリ勢は後方のメルセデス勢がレース最大の障壁と睨み、12周目に入るころには両者のレースペースを見ながら、トップのサインツに2番手ルクレールとの差を広げるようにペースアップさせる。このレースで同年初勝利をつかみ取るための手堅い戦略を狙う。 すると19/62周目のターン8、ローガン・サージェントが止まりきれず、バリアに突っ込む。バックしてトラックへと復帰したものの、フロントウイングを引きずっての走行となり、ピットへと戻った。ここからレースはセーフティーカーとなり、ソフト&ミディアム勢の多くがピットへと入ってくる。ハードのレッドブル勢はステイアウトを選択した。 セーフティーカーエンドで23周目からローリングスタートで再開。先頭はサインツ、2番手フェルスタッペン、以下ラッセル、ペレス、ノリス、ルクレールの順番となる。 ステイアウト組のレッドブル勢はタイヤの滑る場面が散見され、フェルスタッペンはラッセルに抜かれて翌周にはノリスにもパスされてしまう。レッドブルの2台は古いハードを履いたまま徐々にポジションを下げていく状況下、戦略としても完全に“手詰まり”となった。 決勝の中盤からはサインツ、ラッセル、ノリス、ハミルトン、ルクレールのトップ5がほぼ1秒間隔で争いを続ける。 第1スティントのハードで引っ張り続けたレッドブル勢は、突発的に流れが変わらなかったこともあり、40/62周目からピットインを始めた。ペレスは17番手まで下げてトラックへと戻っている。フェルスタッペンもミディアムにつなぎ、15番手まで落として第2スティントに入った。 43周目にエステバン・オコンがエンジントラブルとなり、コース脇でマシンストップ。これでレースはバーチャルセーフティーカーとなった。ここで上位勢はピットに入りづらいなか、メルセデス勢がダブルピットストップでミディアムにチェンジ。フレッシュなタイヤに変更し、3番手ルクレールの13秒後方、4番手でラッセルはコースに復帰している。その後ろに5番手ハミルトンとなった。 ここから4番手ラッセルはファステストラップを連発しながら前方ルクレールとの差をどんどん詰めていく。53周目にラッセルはルクレールを抜いて3番手に浮上。ハミルトンもそれに続き、メルセデスが3-4となった。残り9周で、ラッセルは2番手ノリスの6秒後方。 サインツがトップを走り、1.5秒後方に2番手ノリス。この2人との差をラッセルが縮める。ここでサインツは少しペースを落としてノリスを1秒以内に入れることで、後ろにDRSを使わせ、後方ラッセルへの防御を行う。 58/62周の残り5周になると、トップのサインツからノリス、ラッセル、ハミルトンと4番手がトレイン状態に。2番手ノリスがメルセデス勢の猛追を防ぎ、トップのサインツが意図して再度ペースを落とし、ノリスにDRSを使わせるという駆け引きがここから続いた。 するとファイナルラップのターン10で3番手走行中のラッセルがアウトに振ってターンインしようとしてウォールに接触。そのまま直進してバリアに突っ込み、あと半周というところでレースを終えた。 結局サインツがそのままトップを守りきり、2023年の初勝利をマークした。F1キャリアとしては2勝目となる。また、レッドブル勢は同年15戦目で初めて土がついて連勝は14、フェルスタッペンの連勝は10でストップとなった。 2位ノリス、3位ハミルトンまでが表彰台に上がった。4位ルクレール、5位フェルスタッペン、6位ピエール・ガスリー、7位オスカー・ピアストリ、8位ペレスと続く。 そして9位はワンストップで粘りの走りを見せたリアム・ローソン。キャリア3戦目で初入賞、2ポイントを手にした。10位ケビン・マグヌッセンまでがポイントを獲得している。
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