「ミシンと味噌づくりに夢中!?」ロッチ・コカドケンタロウの無理のない趣味の見つけ方
お笑いコンビ、ロッチのコカドケンタロウさん。多くのメディアで活躍する彼がここ数年夢中になっているのが「ミシン」です。自身のSNSで披露している作品は、多くの人々の心を掴んでいます。 【画像を見る】趣味が長続きしなかったコカドさんが「ミシン」にハマったきっかけとは? どんな趣味をやっても長続きしなかったというコカドさんに、ミシンにハマったきっかけや魅力、そして趣味の見つけ方やミシン以外にハマっているという「味噌づくり」についても聞いてみました。 ■コカドケンタロウさんにインタビュー ――そもそも、コカドさんがミシンにハマったきっかけはなんだったのですか? コカドケンタロウさん:「40歳になって何か夢中になれるものがほしいな、と思ったのがきっかけです。NGT48のメンバーとレギュラーをやっていたんですけど、そこで出会ったNGT48のファンが、みんなすごくキラキラしていて、凄く羨ましかった。30代は趣味と言えるものが何もなく、ただ夢だったお笑い芸人としてご飯を食べられている現状に満足していたんですけど、40歳になって、自分も何かに夢中になってみたいなと思ったんです」 ――ただ、そこから趣味探しをしても、夢中になるほど熱中するものには出会えなかったと。 コカドケンタロウさん:「夢中になれる可能性があるもの。ゴルフ、ギター、グランピングと色々やってみたんですが、ひとつひとつは面白いけど、夢中になるとまでは行かなかった。夢中、を探し求めた結果、それがミシンだったんです。今になって思うと、趣味を見つけるにあたって、“どこかで仕事に繋がればいいな”という想いがあったのが、夢中に届かない理由だったんだろうなって。ミシンは、もともと古着が好きだったのと、服屋をやっているお友達が店でミシンを踏んでいるのがカッコよく見えたからなんです」 ――そのほかの趣味とミシンにはどういう違いがあったのでしょうか。 コカドケンタロウさん:「続いた理由は、夢中になったのもそうですし、やっていくうちに新しい好きがどんどん増えていったのが大きいですね。ミシンはやっていけばいくほど、どんどん楽しいが増えていった。少しでも空き時間や休みがあれば、生地の専門店に行こうかな、とか、ミシンをやりに帰ろうかな、と思うほどでした」 ――コカドさんをずっとそばで見てきた相方である中岡さんの反応は、というと。 コカドケンタロウさん:「相方の中岡くんは、ミシンをはじめた当初は“またなんか変なことやってるわ、続くんかな?”って感じだったんですけど、僕がどんどんミシンに夢中になっていくのを横で見ていて“ホンマに好きでやってるんやな”と思ってくれたみたいです。そこからはズボンの裾上げや、結婚祝いに何か作ってや、と声をかけてくれるようになりました」 ■裾上げをお願いする裏側には、こんなエピソードも コカドケンタロウさん:「ロッチのネタで試着室のコントがあるんです。それは店員である僕が試着室を開けると、中岡くんが必ずお尻を出しているというもので、キングオブコントでも披露して凄くウケたんですけど、あれから中岡くんがお店で試着しようとすると、店員さんやお客さんがクスクス笑うらしいんですよ(笑)。だから試着室に入りにくいらしくて、中岡くんの洋服が僕が裾直しなどしています」 ――普段から、炊事、洗濯、掃除など家事は一通りこなすというコカドさん。 コカドケンタロウさん:「僕はひとり暮らしなんで、料理や洗濯、掃除なんかもやらざるを得ないからやっているんです。しかも全然苦じゃない。でも、ご家族のいる方で日常的に家事をやられている方は、気乗りしない日もやらないといけないから大変だろうなと思います。ひとつ、自分がミシンをやっていて気づいたのは、結果以外にも楽しみを見つけるのが、楽しく続けるコツなんじゃないかと思います。結果や目的だけを考えると、その過程が楽しくなかったり、面倒くさくなっちゃうんじゃないかと思うんです」 ――コカドさんは、日常的に家事を行う人を思いやりながら、こう続けました。 コカドケンタロウさん:「僕がミシンを夢中で続けられているのは、出来上がりもそうなんですけど、その過程も楽しいからなんです。ミシンに向かっているその瞬間も楽しい。だから包丁で切るのは楽しい、とか、洗濯物を干すのは楽しい、とか、過程で一つでも楽しいものがあったらだいぶ違うんじゃないか、と思いますね」 ――ミシンをはじめた事で、新たなファンも獲得できたといいます。 コカドケンタロウさん:「ミシンをはじめてから、新しく僕の事を知った方が増えましたね。インスタライブをしながらミシンをやっていた時の話なんですが、コメントでみなさんがアドバイスをくれるんです。それも当時は僕も分からずやっていたんで“こうしないといけないですよ!”と教えてくれる。たぶん、僕くらいの腕前で、ミシンをしている模様を顔出しで配信している人っていなかったから、すごく新鮮だったんだと思うんです」 ■ミシンのインスタライブではこんなエピソードも明かしてくれました コカドケンタロウさん:「ある時、いつも通りミシンの模様を配信していて、ライブの告知をしたんですよ。そしたら、いつもコメントをくださる方から“コカドさんって、普段は何をされている方なんですか?”って書き込みがあったんです。僕のことを“腕前はまだまだだけど、ミシンへの情熱があるおじさん”だと思って、ずっと配信を見ていたみたいで(笑)。今度見に行きます! というリアクションもあったので、ファンの層は確実にミシンをはじめてから広がっていますね」 コカドケンタロウさん:「インスタライブで僕のことを知ってくれた人は、最初はあんなにできなかった男が、こんなに色々できるようになって、という成長記録を見るような感覚で見てくれていた気がします。僕自身、視聴者の方が見守ってくれて、時にはアドバイスもしてくれた事が、もっとミシンに夢中になっていくひとつの要因になったと思います」 ――コカドさんが30代の終わりに趣味探しをはじめたように、仕事や子育てが一段落したタイミングで趣味を見つけようとする人は多いと思います。そんな方々に向けて、コカドさんはこんなアドバイスをしてくれました。 コカドケンタロウさん:「僕自身がそうだったんですけど、今までの人生で自分は何が好きで、何をやっている時にドキドキしたのか。その周辺にあるものが夢中になれる趣味なんじゃないかな、と思います。あとは、極力ひとりでできる事が良いんじゃないかな、と思います。誰かに付き合ってもらわないといけない趣味って、たぶん夢中になるまでにちょっと時間がかかっちゃって、中途半端になっちゃう気がするんですよね。僕がミシンに夢中になったのは、ひとりでできるから、というのも大きいです。究極、家に帰ればできることですからね。それと、誰かに結果を共有すること。それはSNSとかでも良いと思うんです。僕がインスタライブでミシンの配信をやったみたいに、誰かのリアクションをもらえたら、それだけでどんどん続ける理由になっていくと思います」 ■コカドさんのミシンへの情熱をまとめた書籍 『コカドとミシン』(ワニブックス)が11月27日に出版 コカドケンタロウさん:「これまで番組の本を出した事はあったんですが、エッセイを連載するとか、本に繋がるような仕事をした事もなかったですし、本を出しませんか? というオファーを受けたことがなかったので、こういう形で本を出すことになって、想定外の出来事でした。僕にはミシンの師匠がいるんですけど、その方もすごく喜んでくれました。ミシンを持っているけど、最近触ってない人。ミシンを持ってないけど、これを見てミシンをやってみようと思った人、もっと言えば、何か新しい趣味をはじめようと思ってくれるだけで幸せです」 ――最近は、ミシン以外にもこんな趣味があるとか。 コカドケンタロウさん:「ミシン以外だと、最近は味噌づくりに凝ってますね。自分で作った味噌が大量に冷蔵庫にあるんで、それで味噌汁を作ってます。きっかけは「満天☆青空レストラン」(日本テレビ系)に出演した時に、自家製の味噌で味噌汁を作っていただいたんです。それが美味しかったので「僕も作ってみようかな」と言ったら、宮川大輔さんが「お前が作るわけ無いやろ!」ってツッコんで来られたので「じゃあやってみよう!」という、僕の天邪鬼な部分が出たんです。今となっては大輔さんに感謝しています(笑)」 ――「味噌づくりは楽しいです」とコカドさんは語ります。 コカドケンタロウさん:「たしかに工程とかはちょっと難しいかもですけど、先ほども言ったみたいに、その工程が僕にとっては面白かったんです。暗所で保存しないといけないんですけど、一度汁が溢れて床が水浸しになった以外は全然失敗することもなく。全然家でもできるので、皆さんにもオススメです。作ってから半年は寝かさないといけないので、また作らないと、と思ってます。具は前の日の晩御飯の残り物を入れてますね。これは土井善晴先生の受け売りです(笑)」 ――最後に、ミシンでの目標、プライベートでの目標、それぞれ聞いてみました。 コカドケンタロウさん:「今後の目標は、ミシンでいうと、レザーものは作った事がないので挑戦してみたい。 アウターもどんどん作っていきたいですね。自分で刺繍も入れてみたいです。でも僕、目標を立てるというよりか、この本もそうなんですけど、自分が考えてもいなかった事を周りの方がチャレンジさせてくれる事が多くて、それが楽しいんですよね。想定外な事が楽しい。だから僕はミシンを熱中してやって、それを周りの方に見てもらって、また新しい事に挑戦できたらなと思います」 コカドケンタロウさん:「ありがたい事に、最近は仕事とプライベートの境界線が曖昧になってきていて、この本もそうですし、趣味でやっているサーフィンで、ハワイでロケもさせてもらって。凄く恵まれているなと思います。30代の時は、とにかくがむしゃらに仕事をしていたんですけど、その分、あれしなきゃ、これしなきゃが多くて、その頃より今は自由に生きています。自分に向いている事、苦手なことがだんだん分かって来たので、無理せずできていますね。やはり、好きなものの延長線上に趣味があるんじゃないかなと思います」 文=佐久間隆 【著者プロフィール】 コカドケンタロウ 1978年8月8日生まれ、大阪府出身。ワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビ・ロッチのツッコミ担当。40歳から熱中できる趣味を探し求め、43歳でミシンに辿り着く。NHK「土スタ」、NHKラジオ「さくらひなたロッチの伸びしろラジオ」でMCを務める。毎週月曜22:00よりYouTube「ロッチナイト」を生配信中。