「愛猫と暮らしていた」はずの78歳独居女性に異変が…!ゴミ屋敷に住んでいた彼女の自宅でみつけた「不穏なモノ」
誰でもゴミ屋敷の住人になる可能性が
『ゴミ屋敷に住んでいる女性(78歳)を洗って貰えないかな。彼女の身体があまりにも汚くて、医者にも診せられないんだよ』 【マンガ】「一緒にお風呂入ろ」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性の罪悪感 知り合いのケアマネージャーから緊急依頼を受けた看護師・武藤直子さんは、靴下のうえから2足目の靴下を履いて、ビニール製の使い捨てエプロンやシューズを用意すると、訪問入浴・湯灌サービスを提供している『ウィズ』のスタッフとともに彼女が暮らす“ゴミ屋敷”へと向かった――。 ゴミ屋敷のニュースを”劇場的”に報じ、認知症や精神疾患の可能性についてなぜか言及しないワイドショーなどの影響か、世間ではゴミ屋敷の住人を「変わった人」「迷惑な人」などとして自分とは違う、一線を画した相手として捉えがちである。 しかし実際は、自宅の“ゴミ屋敷化”は、たとえ今は大丈夫だとしても、年を重ねて認知症になれば誰でも起こりうる“未来”ともいえる。 「ゴミ屋敷の住民は、頑固な性格だったり、もともと強い収集癖を持っていることが多いのは体感としてあります。しかしそうしたパーソナリティーを持っていない人でも、認知症の影響で自宅が“ゴミ屋敷”になってしまった方はたくさんいます。 部屋を片付けるにしても、物の定位置を覚えておく記憶力が無ければ、使った後にもとの場所に戻せなくなります。何をどう捨てるかの判断力を失えば、ゴミの分別ができなくなります。曜日感覚を失ってしまえば、ゴミをいつ出していいかわからなくなってしまいます。 認知症を自覚して自信を無くしまう高齢者は多い。ゴミの分別や収集日を間違えてしまうことを恐れて避けているうちに、部屋に大量のゴミが貯まってしまうのは“独居高齢者あるある”です」(武藤さん)
垢で肌がコーティングされていた
武藤さんが向かった先の女性も独居の高齢者で、さび猫と同居し、以前は猫のために買い物に出かけ、キャットフードや猫砂を一生懸命持って帰る姿が近所でも目撃されていたという。 ところがいつの間にか買い物に出かける姿が見られなくなり、その異変に気付いた地域の民生委員が思い切って部屋を訪ねてみると、部屋の中が大量のゴミで溢れかえっており、女性はゴミの中に敷かれた布団の中で、汚物にまみれて寝ている状態で発見された。 「民生委員の方は、地域包括支援センターを通じてケアマネと連携して対応したものの、健康状態がわからなかったため、訪問診療をしている医師に来て貰うことにしたそうです。ところが、あまりに体が汚くて診察どころじゃなかったため、ケアマネから私に連絡が入りました。ケアマネには『家も相当汚いから、覚悟と準備をして来てください』と念を押されました」 現場に到着した武藤さんらは、二重に履いた靴下の上から、さらにビニールの袋をかぶせて、民生委員とケアマネが奮闘して作った通路を歩いて中に入った。 「体を洗わないとヒトは垢まみれになり、肌にぼろぼろと垢がついた状態になるのですが、それを過ぎると垢が皮膚全体に“コーティング”されて、逆に汚れが目立たなくなります。こうなると1度の入浴では垢が取り切れず、数回の入浴によって垢をはがしていく必要がでてきます。彼女はまさにその状態でした。 体温、脈拍、血圧、呼吸などのバイタルは入浴に差し支えない値でしたが、かなり弱っていることも確認しました。はやくお風呂に入れて体を洗い、清潔なシーツに寝かせてあげて、医師の診察を受けて貰いたかったのですが、大量のゴミが邪魔をしてきました」
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