「都心のオフィスビルの空室率が5%超え」コロナ禍のビル賃貸市場の実情と今後の行方
コロナ禍の影響による経済の圧迫やテレワークの推進などにより、自社ビルの売却や、専有面積の縮小、撤退へ踏み切る企業が増えています。 東京都心では5年ぶりにオフィスビルの空室率が5%を超えるなど、ビル賃貸市場への影響が出てきています。 このままでは、ビルの空室状況が悪化の一途をたどるのではないかという懸念もありますが、住宅評論家の櫻井幸雄さんは「まだ危機的状況ではない」と言います。リーマン・ショック時と比較したビル賃貸市場の現状と新しい潮流について伺いました。 (Yahoo!ニュースVoice編集部)
現在のビル賃貸市場の状況について
ビルに関しては暗いニュースが多いです。 電通の本社ビルが売却され、リクルート本社ビルも売却されたというような話を聞くと、軒並み日本の企業が東京中心地のビルを売却するんじゃないかというイメージを持つ人が多いと思います。 さらにオフィスビルの空室率です。こちらも上昇しているというデータが三鬼商事から出されています。 2020年の1月から5月くらいまでは空室率1%台というような非常に低い数値できていたのですが、7月から3%台と上がり、さらに今年に入ってからはついに5%を上回ってしまった。 それを見るとビルは空室だらけになるのではないかという不安も出てきます。
空室率5%は悪い数字ではない
現在のビルの状況について私がどう考えるかというと、実は空室率5%という数字はそんなに悪い数字ではないのです。 空室率というのは5%が1つの目安になります。 空室率が5%よりも多くなると「景気が悪い」「借りる人が少なくなる」「家賃が下がる」そういう目安です。 5%よりも低ければ「景気が良い」「オフィスが次々に埋まる状態」となります。 今までの空室率の推移を見ると違う見方ができると思います。 こちらのグラフは2002年からの空室率の推移で、よく言われるのがリーマン・ショックの時と比べてどうかという見方で、当時の悪い時の数字でいうと空室率は実は9%を超えていました。 今年に入ってから空室率が5%を超えてしまったところなので、ビル賃貸業者の間ではまだそれ程大きな危機ではないだろうと考えています。