「都心のオフィスビルの空室率が5%超え」コロナ禍のビル賃貸市場の実情と今後の行方
ビル賃貸業者が不安視しない3つの理由
ビル賃貸業者が今の状況を不安視していない理由は3つあります。 1つ目の理由は「景気の良し悪しがまだら模様」―― リーマン・ショックの時は全ての業種・業態が景気が悪くなってしまって軒並みビルを撤退するところが出てきてしまいましたが、現在のコロナ禍においては良いところもあるし悪いところもある。 良いところがこれから先、ビルをもっと広げていきたいという動きも出てくると思いますので、空室率はそんなに多くならないだろうという見方です。 2つ目の理由は「入りたい企業がまだたくさんいる」―― コロナ禍が起きるまで東京の空室率というのは非常に低く、借りたくても借りられないという会社が多かったのです。 そういうところが東京のオフィスが空いたと聞いたら、「じゃあ私も入れるのではないか」と列をなして待っている状態ですので、空室率はおのずと下がってくるだろうと考えています。 3つ目の理由としては「今のオフィスビルの借り方の問題」―― オフィスビルの賃貸契約というのは定期建物賃貸借契約(※)という方式になっており、3年から5年程度の長さで契約が決まっています。そしてその間に一方的な解約ができないことになっています。 どうしても解約したければ違約金という、とても高いお金を払わなければ出ていけないということになっていますので、契約期間中は動かないでこのまま様子を見ましょう、という企業が多くなります。 その間にワクチンが行き渡って状況が変われば景気も上向くでしょうという見方もできます。 以上の3つの理由で、一気にオフィスが空いてしまう状況にはならないだろうと考えているわけです。 ※定期建物賃貸借契約…契約の更新がない契約のこと。契約期間満了時点で建物を明け渡さなければならない。貸主と借主が合意すれば再契約することも可能。
考えてみると昭和の時代、「新幹線」「東名高速道路」「首都高速」で日本の経済は大きく変わりました。 それと同じようなものが東京オリンピックで、もう一度今の日本で起きようとしています。 その時に手前でちょっとつまずきが生じたというところだと思います。 大きく飛躍する可能性はまだまだ残っていますので、ビルの空室率が上がったからといって悲観することはないと私は考えています。 (制作協力/シオン)