やさしく解説「北朝鮮ミサイル危機」Q&A
北朝鮮がミサイルを発射するかもしれないという緊迫した状態が続いています。どうしてこんなことになったのか、ミサイルが発射されたらどうなるのか。経緯と見通しをQ&Aでざっくりまとめました。 Q 何が起きているの? A 北朝鮮は今年3月ごろから韓国や米国、日本に対する挑発的な言動をエスカレートさせており、4月に入ってからは中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射準備が完了したようです。ムスダンは射程が2500-4000キロで、日本だけでなく米軍基地のあるグアムまで届くとみられています。ほかのミサイルを同時に発射する可能性もあると言われています。
Q 挑発的な言動って何? A 北朝鮮は、いまだ正式には終わっていない朝鮮戦争(1950-1953)の休戦協定を白紙化すると表明したうえ、韓国と「戦時状況」に入ったと宣言しました。また、核兵器の材料プルトニウムを生産できる核施設の再稼働を表明。さらに、北朝鮮国内で韓国と共同運営している「開城(ケソン)工業団地」の操業を停止しました。この工業団地は2004年に操業を開始した南北協力のシンボルで、北朝鮮にとって貴重な収入源になっており、これまで南北関係が緊張しても操業が停止されることはありませんでした。 Q 言葉による挑発もあるの? A 「ソウルもワシントンも火の海になる」とか「無慈悲な核攻撃で応える」といった具合で、日本も核攻撃の例外ではないと言っています。ただ、こうした激しい言葉を北朝鮮が使うことは過去にもありました。
Q なぜ挑発するようになったの? A 3月に韓国で2つの米韓合同軍事演習が始まり、米国は核兵器を搭載できるB2ステルス爆撃機を演習に参加させました。また、北朝鮮が今年2月に3度目の核実験を強行したことを受けて、国連の安全保障理事会は3月、厳しい北朝鮮制裁を決めました。制裁には、核兵器開発につながるあらゆる金融取引の凍結の義務化などが含まれています。こうした動きに北朝鮮は猛反発しました。 Q 北朝鮮は何がしたいの? A 米国に核保有国と認めさせて援助を引き出したいとか、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が指導力を見せつけることで体制固めを狙っているとか、いろいろな説があります。正恩氏は2011年12月に死去した父の金正日(キム・ジョンイル)総書記から権力を世襲しましたが、その行動は専門家でも予測しにくいようです。本気で戦争をしたいわけではないだろうというのが大方の見方です。 Q もしミサイルが日本に向かって飛んできたらどう守る? A 自衛隊の態勢は2段構えです。まず日本海に待機しているイージス艦が迎撃ミサイルSM3を発射して大気圏外で撃ち落とし、そこで撃ち落とせなかったら首都圏などの地上に配備した迎撃ミサイルPAC3で破壊するのです。ただ、実際に撃ち落とせるかどうかは分かりません。「ピストルの弾をピストルの弾で撃ち落とすより難しい」と言われています。