転職が決まりましたが、「次の人が決まるまで」と言われ退職できません。転職先に迷惑をかけたくないので、すぐに退職して大丈夫でしょうか…?
転職活動をして内定を獲得したものの、現在の職場から「次の人が決まるまで」と言われて退職できないというケースがあります。しかし、新しいスタートですから、転職先に迷惑をかけたくないと考えるのは自然なことでしょう。そこで、会社が退職届を受け取ってくれないなど、在職を強要されているような場合に、これを振り切って退職することに問題はないのかということを説明していきます。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できる…?
雇用契約の種類で異なる退職の自由
そもそも労働者が自由に会社を辞めることができるのかどうかについては、雇用契約の種類によって異なります。まず、雇用契約に期間の定めがある場合には、原則として、期間が終了するまでは退職することができません。 例外的に、病気などで働けなくなった場合など、やむを得ない事情がある場合には退職することが可能です。また、契約期間の初日から1年を経過した日以後については、いつでも退職することができます(労働基準法第137条)。 これに対して、一般的な正社員が該当する期間の定めのない雇用契約では、退職をする時期に制限はありません。この場合は、退職希望日の2週間前までに退職の意思を告知すれば、いつでも退職できることが定められています(民法第627条1項)。この場合、退職の理由はなんでも構いません。 例えば、仕事が合わないと感じたことを理由にしたり、職場の人間関係に悩んでいることを理由にしたりしても良いのです。もちろん転職が理由でもまったく問題ありません。 ただし、会社によっては就業規則で1ヶ月前の退職告知を義務付けている場合があります。この場合、もし裁判になっても民法の規定が優先される可能性が高いのですが、会社の業務内容によっては就業規則のルールが認められる可能性もゼロではありません。そのため、就業規則に従っておいたほうが無難です。 もっとも、会社側があまりに長い期間、例えば3ヶ月の告知期間を設けているような場合には、このルールを裁判所が認める可能性は極めて低いと考えられます。したがって、長くても1ヶ月前に告知すれば十分でしょう。