宇宙から地上の新たな価値を見つけ出す。株式会社天地人 櫻庭康人さん&百束泰俊さんインタビュー
街に出る・現場に出る。お二人のインプット術
──ここからは一問一答形式でお聞きします。仕事は何時にはじめて、何時に終えますか? 櫻庭:朝7時くらいから22時くらいでしょうか。会食も多いので、それも含めてです。 百束:僕は8時から20時くらいですかね。愛犬に早く会いたくて帰ります。 ──愛用デバイス、仕事道具は? 櫻庭:仕事道具はこのMacBookです。 百束:僕はWindows派。使っているのはASUSのZenbookです。 櫻庭:あと、実はデバイスマニアなもので、気になったデバイスはどんどん使ってみています。Google GlassやAppleのVision Proもすぐに手に入れました。イヤホンも複数持っていて、その日の活動に合わせて選んだりしています。
──情報収集はどのように行っていますか? 櫻庭:XやGoogleのサジェストは結構チェックしていますが、そこに落ちていない情報はやはり人と人との関係性の中にあるので、経営者のみなさんとか、いろんな人の話を聞くようにしています。 百束:街に出る。みんながどんな服を着て、どんなものを食べているのか、見るのが大事だと思います。そのために、渋谷のパルコをワンフロアずつぐるぐる回って見たり(笑)。 ──能力を伸ばすには? ビジネス力を伸ばすには? 櫻庭:やっぱり量ですかね。あとは、気になったらすぐに飛び込んでみる。私は気になったイベントにはすぐ顔を出しますし、気になる国があったらすぐ行くようにしています。 気になったら現場を見る。やっぱりこれが大事なんだとと思います。人も、SNSでの印象と直接会ったときではまったく違ったりするので。 百束:ありがちですが、本を読むことでしょうか。体系的に整理された知識を、手ごろな値段で買うことができる。僕は本に対しては、かなり信頼しているところがあります。あとは創業者や経営者という立場上、人前で話すことは多いのですが、それが自分自身にとっても自己啓発になっていると感じています。 ──尊敬する人や好きなアスリートは? 櫻庭:NBAのステフィン・カリー選手です。身長は188㎝と、バスケット選手の中では決して大きくはないんですが、高い3ポイントシュート成功率でさまざまなNBA記録を樹立。NBAに革命を起こしたと言われる人なんですが、その陰にはものすごい量の努力があるんです。彼のように努力し続けて、結果を出す人は尊敬しますね。 百束:僕、芸術家の岡本太郎さんが好きなんですよ。創作の源泉が怒りというところが自分もすごく影響されています。自分の悔しさや怒りが熱意の源泉になっているところは「タロウイズム」なんじゃないかな、と思っています。 ──余暇の過ごし方は? 櫻庭:家族が大好きなので、みんなでどこかにでかけたりして、家族のための時間を過ごします。 百束:美術館めぐりが多いですね。普段、ロジカルなことを考える時間が長いので、週末は感覚的なもので心のバランスを戻す感じでしょうか。休むというより、メンタルをニュートラルに戻すという意味があると思います。ロジックじゃない、1+1が2ではない世界に触れると生き物として癒される気がします。 ──心が折れたときはどうしますか? 櫻庭:寝ます。15分くらい寝て、もういちど考えると解決策がでてきたりするので、悩むより寝る。 百束:僕の場合は「あんまり気にしないこと」ですね。あと、甘いものを食べる。お団子とか買いに行っちゃう。 ──食生活で気をつけていることは? 百束:普段はほとんど糖質もアルコールも摂らない修行僧のような食生活をしています。糖質オフのパスタとオートミールが主食の生活を10年くらい続けているんで、家には炊飯器もなかったり。だから、たまに食べる甘い物の癒し効果は絶大なんです。 櫻庭:アルコールのあとのラーメンは食べない、くらいかな。 ──運動の習慣は? 百束:散歩が日課で、21時から22時くらいに毎日散歩しています。櫻庭さんと打ち合わせの帰りも「ちょっと歩きませんか」と言って、歩きながら話したりしますね。毎日1万歩生活を、もうずっと続けています。 櫻庭:私は走る派です。 ──これだけはやらないと決めていることは? 百束:正直に生きたいので、気持ちをしまい込むようなことはしないようにしています。思ったことはちゃんと伝えたいです。 櫻庭:人を騙すこととギャンブル。スタートアップはある意味、ギャンブルのようなものなので、それだけでお腹いっぱいです。 ──おすすめの本は? 百束:劉慈欣の『三体』(早川書房)はおもしろかったです。アジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。 もう1つは漫画なんですが『映像研には手を出すな!』(大童澄瞳 著、小学館)。NHKのEテレでTVアニメ化もされた作品です。いろんな人の専門性を生かして「何かをつくるというのはどういうことか」みたいなことを、この漫画から学んでます。 ──座右の銘はありますか? 百束:「和而不同(わじふどう)」です。 これは「人と協力はしても、むやみやたらに自分の意見や態度を変えて合わせない」という意味の言葉。「人に流されるな、自分の意見を持った人と一緒にやろう」というのが僕のポリシーなんです。 櫻庭 康人(さくらば・やすひと) 株式会社天地人CEO/創業者。 多様な人的ネットワークと、マインドスコープ株式会社、株式会社センスプラウト等の設立・事業拡大を通じて身につけた豊富な新規事業開発の経験を生かし、株式会社天地人の代表取締役を務める。農業IoTセンサーの開発経験もあり、ハードウェアからソフトウェアまでその知識は幅広く、天地人サービスをビジネス視点でデザインする。 百束 泰俊(ひゃくそく・やすとし) 株式会社天地人CSTO(チーフサテライトテクノロジーオフィサー)/創業者/取締役、JAXA(宇宙航空研究開発機構)技術領域主幹/参事。 2004年宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入構。降水観測の「GPM主衛星」、温室効果ガス観測の「いぶき2号衛星」について、JAXA職員として全開発工程を担った地球観測衛星の専門家。NASAゴダード宇宙飛行センター駐在を経験。大規模システムのプロジェクトマネジメントを専門とする一方で、自ら開発した衛星を含む様々な地球観測データを活用しつつ、ビジネスアイデアを創出する。天地人の共同創業者。 Source: 天地人 聞き手: ライフハッカー・ジャパン編集長 遠藤祐子/編集: ライフハッカー・ジャパン・編集部 内藤青也/Photo: 伊藤圭
島田ゆかり