革新と普遍を併せ持つ10組の共演、「ツタロックDIG LIVE vol.16」現地レポ
レトロリロン、友達と作り上げた30分
前のyutoriと606号室が気迫のこもったライブを見せたからだろうか。リハーサル中に少し緊張感が漂っていたが、涼音(Vo.Ag)が「全然喋ってていいよ」とほぐす。まずこのバンドのフレンドリーな雰囲気が多くのリスナーに愛されている理由だと感じた。登場の際もオリジナルのSEで徐々に期待感を上げていき、最後に涼音が「イエーイ! ツタロックDIGライブー!」と元気よく登場。「さぁ中盤、疲れてない? 大丈夫? じゃあもっと疲れていこうかー! よろしくー!」と気遣いながらも、しっかりテンションを上げさせる。 そんな彼らの1曲目は「ヘッドライナー」。コールアンドレスポンスもあって、大きいステージでもしっかり巻き込む楽しいミュージックだが、どこか1人部屋で気楽にヘッドフォン付けてノリながら聴いている感覚も思い出させる。そんな曲の親近感も保ちつつ、続く「DND」はホーンサウンドも加わって情熱的なナンバー。涼音もお立ち台に上がってフロアを指して会場を盛り上げる。<誰にも止められない>という歌詞の通り、レトロリロンのライブは天井知らずにキラキラが加速していく。 続くMCでは「乾燥が嫌になる季節ですね」「ステージの作りがすごい」「今、休憩してます。最近前半戦で飛ばす傾向があるので」「いつもは皆さんのタイミングでライブ来てねって言ってるけど、ワンマンぐらいは来てって言っても良いよね? 顔覚えておこう」と軽快なトークで沸かす。そして3曲目は「Document」。大人しくも印象的なイントロで始まるこの曲は、紫色の逆光も相まって、直接脳内に響き渡ってくるよう。徐々に理性をアンコントラブルにさせられ、サビでの<oh oh oh oh oh>の合唱の声は大きくなる。ただそれはステージ上の4人も同じで「自由に!」と言い放った涼音もステージ上を駆け回って、飯沼(Ba)と肩を組んだり、miri(Key)と向き合って踊ったりしていた。そんな自由な空間を少しだけ引き締めるような永山(Dr)のドラムの入りから、オシャレでアーバンなイントロが鳴り出せば「アンバランスブレンド」の合図。そのどこか切なくも煌びやかで温かいサウンドはちょっと先取りのクリスマス的な感じも。涼音もステージ上で1人1人の手を握っているようで、その温かみが曲を通して伝わってくる。 そして軽快なバンドサウンドの中「この曲を書いてから少しずつ友達も増えてきて、みんなと友達になって帰りたいんですけど、どうですかね?EAST」と訊ねると大歓声が返ってくる。「じゃあツタロックDIGライブ全員友達になってくれますか!」と「TOMODACHI」がスタート。飯沼も最後まで体全身でリズムを取り、miriのキーボードも1つ1つ明かりを灯すように会場を明るくする。終盤の永山のパワフルなドラムは曲のメッセージをさらに後押しする。そして最後は<ラララ>の合唱が起こり、友達との楽しい時間が終了した。 <セットリスト> 1. ヘッドライナー 2. DND 3. Document 4. アンバランスブレンド 5. TOMODACHI