鳥越裕介氏 来季から西武のヘッドコーチに就任 ファンにたくさん喜んでいただけるように…
【鳥越裕介 かぼす論】来季から埼玉西武ライオンズでヘッドコーチをさせていただくことになった。なんのつながりもない私にオファーをいただいたのは正直、驚いたが、お役に立てるのであればとの気持ちでお世話になることを決めた。 ユニホームを脱いだ2年間、勉強になることはたくさんあった。今まで報じられる側が、報じる側に回った時の大変さ、取材の難しさを痛感した。人生の勉強になったし、この経験はプラスしかない。同時に過去の自分を反省した。若い頃、ミスした時に聞かれたくない質問にきちんと答えなかったことがある。新たな環境ではチームとして若い人にも伝えられたらと思う。 ロッテでの5シーズンを終え、福岡に戻ってからはホークスファンと触れ合うことも多かった。ファンの熱さ、ありがたみ。そういうものがより身近に感じられた。ファンあってのプロ野球ということが、改めてよく分かった。周りのメディア関係者もチームを心から応援している。優勝の番組や紙面をイメージし、本当によく取材されていた。ライオンズは91敗し、ホークスの91勝とは正反対だった。143試合で49勝、49回しかファンを喜ばせられていない。そこをどう、増やせるかに挑戦したい。 今季、ライオンズは打線が点を取れず、常に1、2点勝負くらいの緊張感の中、毎試合、戦っていた。その経験は来季に生きると思う。自分としてもオファーを受けると決めた時から、負けた責任感は芽生えてきた。同じように悔しがることはできないかもしれないけど、その気持ちでユニホームに袖を通すつもりだ。背番号は「91」。チームの全員が、24年に91敗したことを忘れてはいけないという意味も込めて、背負わせてもらうことにした。 選手も悔しさを抱えたまま、キャンプやオフを過ごせばなにかが変われるはずだ。チャンスを与えてもらった若手はたくさんいる。そこにどんな出会いがあるのかを楽しみにし、来季はライオンズファンにたくさん、喜んでいただけるようにパ・リーグを面白くしたい。 (野球解説者)