ボルボ新型EV、一部機能が使えないまま納車 EX90でソフトウェア不具合、アップル・カープレイなど未搭載か
後日アップデートで対応
9万6255ポンド(約1960万円)のボルボのフラッグシップEV「EX90」が、スマート充電、アップル・カープレイ、一部の安全機能といった主要な機能を搭載せずに顧客に納車される可能性がある。同社が認めた。 【写真】新世代のフラッグシップSUV【ボルボEX90を写真で見る】 (15枚) ボルボはEX90の購入者に対し、未搭載の機能が「後日、アップデートを通じて」追加される予定であると説明したが、具体的な日程は明らかにしていない。 EX90は米国で生産されており、まもなく顧客への納車が開始される予定だ。機能欠落の原因はソフトウェアの不具合にあるようだ。10月に右ハンドルの納車が始まる英国でも影響が確認されている。 納車時にはクロストラフィックアラートなど一部の先進運転支援システム(ADAS)やLiDAR機能が装備されない可能性があり、また、クルーズコントロール使用時にカーブ手前で自動的に減速する機能も搭載されないと見られている。 アップル・カープレイをはじめとする一部の快適装備も搭載されない可能性があり、インフォテイメント・システムもダークテーマのみの表示となる。 スマート充電、双方向充電、プラグ&チャージ(公共充電料金を自動的に支払うシステム)も納車時には搭載されない見込みだ。 また、ボルボによると、駐車中に24時間あたり3%のバッテリーを消耗する可能性があり、充電しないまま最大72時間経過するとバッテリー節約のためにディープスリープモードに入るという。
こうした問題に対し、ボルボの広報担当者はAUTOCARの取材に応え、次のように述べている。 「新世代のテクノロジーの導入には、固有の課題がつきものです。不足しているいくつかの機能をリリースし、継続的な改善に備えるために、ソフトウェア統合にさらなる時間を必要としています」 「EX90は時間の経過とともにより良くなるように設計されており、お客様にはアップデートやアップグレードによる機能性の向上、機能追加をご期待いただけます」 また、「新しいフルEVのフラッグシップSUVの納車を開始するにあたり、お客様満足と製品品質が最優先事項であることに変わりはありません」とした。 ボルボのジム・ローワンCEOは声明を発表し、この遅れを重視しない姿勢を示した。 「OTA(無線)アップデート機能を持つソフトウェア定義車両(SDV)の本質は、継続的にソフトウェアをアップグレードすることです。当社はそれが可能です」 「EX90のような先進技術を搭載する製品に投資されるお客様は、このことを十分に理解しており、時間の経過とともにその恩恵を受けることになると思います」 ボルボの新型EVでソフトウェアの不具合は今回が初めてではない。今月初め、EX30ではタッチスクリーンがブラックアウトする、ステアリングホイールのボタンが反応しない、充電されないなどの問題で、一部の所有者に払い戻しを行ったとされている。
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)