バイデン大統領と習近平主席、互いに無表情のまま進んだ「最後の首脳会談」で唯一バイデン氏の頬が緩んだシーン
■ 同時通訳のイヤホンもつけず… 両首脳にとって3回目となる首脳会談。約1時間40分に及ぶ会談で、習近平主席が冒頭の言葉を述べ始めた時、バイデン大統領は、ただボーッと聞いていた。もはや気分は上の空だったのかもしれない。それで習主席が、「同時通訳のイヤホンをつけないんですか?」と問うている。 そうしたらようやく気づいて、慌ててイヤホンを耳に当てた。その時、バツが悪いと思ったのか、「私は中国語を勉強したんだ」とつまらないジョークを言っている。 習主席が笑ったのは、おそらくその時くらいで、「今日は私から先に話す」と前置きして、すぐに長広舌を述べ始めた。 「過去4年の経験を総括し、啓示を導き出すと、少なくとも次のようなことが言えるだろう。 第一に、正確な戦略の認知があった。『トゥキディデスの罠』(大国同士が紛争になりやすいたとえ)は歴史の宿命ではない。『新冷戦』は起こしてはいけないし、起こしても勝利できない。 第二に、言ったからには約束を守り、行なう以上はやり遂げる。人は信なくして立たずだ。中国は常に言行一致だった。もしもアメリカが言行不一致なら、アメリカのイメージは悪化し、相互の信頼を損ねることにもなる。
第三に、平等な態度だ。中米両大国の交流は、一方が勝手に相手を改造するとか、いわゆる『実力』でもって相手を威圧するとか、さらに自国のリーダーとしての地位を利用して相手が正当に発展する権利を剥奪しようとしてはならない。 第四に、相手のレッドライン、ボトムラインを挑発してはならないということだ。台湾問題、民主人権、(中国が)進んでいく制度、発展の権利の4つのレッドラインへの挑発は許さない。 ■ まるで石像 第五に、多方面の対話と協力だ。現状をでは、中米両国の共通利益は減っておらず、さらに増えている。第六に、国民の期待に応えることだ。中米関係の発展は終始、両国民の福祉に着眼し、両国民の力を結集させるのだ。第七に、大国の役割を示すことだ。中米両国は人類の運命の前途を考え、世界平和を担当し、全世界に公共の産品を提供し、世界の団結に積極的な役割を発揮するためだと考えていくべきだ。 そもそも中米関係の発展の履歴は、中米関係の建国以来45年の経験と啓示が証明している。もしも両国が、同じ方向を向きながらも相違点があることを認めるパートナーになるなら、中米関係はまさに長足の発展を成し遂げることができる。もしも相手をライバルとみなして、悪意のある競争をすれば、中米関係は波に揉まれて挫折し、後退する。 『デカップリングやサプライチェーンの分断』は、解決の道ではない。互利協力こそが、共同発展の道だ。『スモールヤード・ハイフェンス』(高い柵で囲われた小さな庭=ハイテク技術の囲い込み)は、大国がやるべきことではない。開放共享こそが、人類に福をもたらすのだ。 中米関係の安定と発展は、両国の国民だけでなく、人類の前途の運命にも関わることだ。中米は引き続き、二つの大国の正しい道のりを模索し、中米両国が地球上に長期の平和と共存をもたらし、世界に多くの確実性を注入し、プラスのエネルギーを提供することを実現するのだ……」