NTT法の見直し、存廃判断せず…固定電話の全国一律義務は緩和方針
NTT法の見直しを議論する総務省の有識者会議「通信政策特別委員会」は27日、最終報告書を公表し、固定電話サービスを全国一律で提供するNTTの義務を緩和する方針を盛り込んだ。NTTが求めていた同法の廃止については判断を示さず、存続・廃止の両論を併記した。
固定電話の全国一律提供義務は、サービスを提供する事業者が他にいない地域に限ってNTTが義務を負う「最終保障提供責務」に見直す。他の通信大手も担い手に加えることによって、効率的にサービスを提供する体制を目指す。
NTTが老朽化したメタル回線(銅線)の固定電話を2030年代から段階的に廃止する意向であることを踏まえ、かわりにIP電話の基盤となる光回線などのブロードバンド(高速大容量通信)について、他の事業者がいない地域で提供する義務をNTTに課すとした。
政府によるNTT株の保有義務や、事業計画の認可制といった規制は、一部を除いて維持するとした。外国人株主が保有できるNTT株の割合を全体の3分の1未満(議決権ベース)に制限する外資規制は「維持が適当」と明記した。
NTT法の存廃については、NTTに対する規制を〈1〉NTT法で引き続き規定する〈2〉通信業界の競争ルールなどを定めた電気通信事業法に移し、NTT法を廃止する――の2案を示した。そのうえで、今後の検討を総務省に委ねた。
NTT法を巡っては、経営の自由度を高めたいNTTが廃止を求め、自民党も昨年12月、25年をめどに廃止することを求める提言を公表していた。一方、KDDIなど他の通信大手は廃止に強く反対していた。総務省は最終報告書をもとに、25年の通常国会への関連法案の提出を目指して調整を進める。