私ら、何か悪いことしたんでしょうか…年金月33万円・70代夫婦の「穏やかな老後」が一転、家を失う事態に戦慄。元凶となった、30代息子に日本年金機構から届いた「赤い封筒」の中身【CFPの助言】
どんなに順風満帆に過ごしていても、何が起こるかわからないのが人生。夫婦で月33万円の年金を受け取り、穏やかな老後生活を過ごしていた中西夫婦(仮名)も、30代の息子宛てに年金機構から届いた「赤い封筒」をきっかけに、状況が一変します。一体、中西夫婦の身に何が起きたのでしょうか? 国民年金を滞納することで起こる「リスク」と「対策」について、ファイナンシャルプランナーの辻本剛士氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
穏やかな老後生活を送っている夫婦に届いた「赤い封筒」
中西達也さん(仮名・72歳)とその妻、佳織さん(仮名・72歳)は、定年退職後、穏やかな老後を送っていました。達也さんは長年、中小企業の経理部で働き、几帳面な性格から経理の仕事は天職だと感じていました。65歳で退職し、その後は健康に気をつけつつ、毎朝公園で散歩を楽しむ生活を送っています。 中西さん夫婦の生活は安定しており、月々の年金収入は夫婦で33万円。比較的余裕のある年金額で、生活に必要な経費を賄いつつ、毎月3万円から5万円を貯蓄に回すことができていました。家も自己所有で、住宅ローンの支払いはすでに完了しています。 中西さんの息子の元気さん(仮名・38歳)は、夫婦で中西さんと同じ家で生活しています。高校卒業後、元気さんは配送業で働き始め、その後は個人事業主として独立します。元気さんは高校でラグビー部に所属し、今でも趣味で社会人ラグビーを続けており、身体を動かすことが好きな性格です。 こうして、中西家は二世代が一緒に暮らす、充実した生活を送っていましたが、ある日、元気さん宛てに届いた一通の郵便が、一家の日常に予期せぬ変化をもたらすこととなります。
息子宛てに届いた「赤い封筒」
ある日のこと、息子宛てに年金機構から赤い封筒が届きました。中西さんは心配し、息子の元気さんに尋ねます。 「この封筒は国民年金の催促状じゃないのか? もしかして未納なのか?」 元気さんは返答します。 「独立してから余裕がなくて、ずっと払えてなかったんだ。でも、今月は、収入が多いから払えるから大丈夫」 それを聞いて安心した中西さんは、「わかった。じゃあ期日までに納付できそうだな」と言って、この話題は終わりました。 しかし、中西さん宛てに年金機構からの「督促状」が… その後しばらくしてから、今度は中西さん宛てに、日本年金機構から郵便が届きました。封を開けると、そこには「督促状」の文字が。驚いた中西さんは、妻を呼び、「おい、これなんだ!?」と慌てます。 中西さん夫婦は、これまで年金の納付を滞ったことはありません。そして、現在も年金を受給しており、「督促状」を受け取るような要因は思い当たりません。「私ら、何か悪いことしたんでしょうか?」といぶかしむ妻。 気を落ち着けて、よくよく督促状の内容を読んでみると、そこには、元気さん夫婦の80万円を超える国民年金の未納分と、最終納付期日が記載されています。さらに、未納が続けば、財産差し押さえの対象となるという文言も記載されていました。 中西さんは元気さんに問いただします。 「俺あてに国民年金未納の督促状が届いたぞ! この間納付すると言っていたじゃないか!」 元気さんは答えます。 「急な出費が重なってしまって、納付できなかったんだ。でも、問題ないよ。まとまったお金が入ったから、あとで納付しておく」 中西さんは心配でした。しかし、息子が納付すると言っているので、それ以上は追求せず、話は終わりました。