渋谷区の全小中学校が「探究学習」を倍増。企業・地域コラボのホンモノ体験が「My探究」を支える
◆のべ300の外部連携先と協力し、社会全体で子どもを育てる
シブヤ未来科の特長の一つが、子どもたちに「本物体験」を提供する外部連携先の数と多様さです。 渋谷に拠点のある事業者を中心に、スタートアップやNPO法人から大企業、地域の人材なども含めて、のべ300あまりの連携先が登録されています。 連携先を増やすのに苦労する学校が多いなか、なぜこれほどまでに開拓が進んでいるのでしょうか。外部連携のきっかけには4つのパターンがあると、柳田さんは言います。 「学校がもともとつながりのあったところと連携を深めるパターン、教員が自力で見つけてくるパターン、各校にいる地域コーディネーターがつなぐパターン、そして、私たち教育委員会の事務局が見つけてくるパターンがあります。外部連携に積極的な学校や教員が多く、私たちも企業のセミナーや会合などに顔を出すなどして、連携先はどんどん増えています。 企業としては、CSRやブランドイメージの面でメリットがあり、宣伝にもなります。でも何よりも、子どもたちのために何かしたいという思いをおもちの方、社会全体で子どもを育てるという私たちの思いに共感してくださる方がとても多くありがたく思っています」 今秋から本格始動する「My探究」。年度末には渋谷区全体としてシブヤ未来科の発表会を開催することが決まっており、各学校でも発表会・報告会などを開催予定です。 例えば、渋谷区立広尾中学校では、教員、区役所の職員、企業の担当者、大学生、留学生などさまざまな人の前で発表し、フィードバックをもらう中間報告会を10月に開催します。どのようなMy探究が生まれるのか、期待が集まります。 この記事の執筆者:笹原 風花 ライター・編集者。奈良県出身、東京在住。第2の故郷はオランダ・ライデン。高校生向けの大学受験情報誌の編集部に4年間勤めたのち、制作会社勤務を経て2014年に独立。取材・執筆分野は教育や学びを中心に多岐にわたり、企業の社内報や広告制作などにも携わる。
笹原 風花