定年退職後の自衛官、バス・トラック運転手の「即戦力」として注目…自衛隊などが就職説明会
運転手の時間外労働の規制強化に伴い、人手不足に陥る「2024年問題」を踏まえた運輸、物流業界への就職説明会が9日、大津市の陸上自衛隊大津自動車教習所で開かれた。対象は定年退職を控えた自衛官ら。自衛官は業務で大型免許を持つ人が多く、「即戦力」と注目されているという。
自衛官は、階級によって異なるが、50歳代後半で定年退職となる人が多い。大型免許や業務の経験を生かし、人手不足の業界で活躍してもらおうと、国土交通省滋賀運輸支局と自衛隊滋賀地方協力本部が初めて企画した。
県内の駐屯地で勤務する陸自、航空自衛隊の隊員約20人が参加。業界団体の担当者が「乗客の生活や人生に関わる仕事」「強い責任感や体力、忍耐力を備えた皆さんは運転手に適している」などと説明し、参加企業ごとに待遇などをアピール。路線バスや大型トラックの運転体験も行った。
大津駐屯地の自衛官(54)は阪神大震災の際、自衛隊のトラックを運転して被災地に向かった。「自衛隊の車両より運転しやすい。運転は好きだし、バスやトラックは再就職先の有力な選択肢です」と話した。
時間外労働規制の影響は滋賀県内にも及んでおり、県の調査では、県内のバス会社8社で今年度計53人が不足し、31路線で減便され、2路線が廃線になった。トラック、タクシーの運転手不足もより深刻化するとみられる。