“台風7号”接近で再び問題視される「買い占め行動」はなぜ起こる?そこに潜む心理について日本人教授が解説
災害のたびに起こる「買い占め」現象について、もはや多くの人が辟易しているだろう。今まさに関東地方に接近中の“台風7号”によって、再び買い占め行動が問題になっているが、今回はそこに潜む心の動きとその対策を専門家が解説する。 【写真】ネットで買える、本当に役立つ「女性のための」防災グッズ28選 数年前、新型コロナウイルスの流行がはじまった当初、街からマスクが消えた。ドラッグストアでは常に「品切れ」「入荷未定」で、インターネットやオークションサイトでは一時、定価の100倍近い値が付いた。消毒液、除菌タオルも同様だった。こういった「買い占め」現象は、今に始まったことではない。 さかのぼれば、1973年のオイルショックによるトイレットペーパー。2011年の東日本大震災の時には、全国でミネラルウォーターやカップ麺などが店頭から消えた。昨年の令和元年東日本台風の時には、電池や懐中電灯が品薄になった。災害時にはなぜいつも、こういった「買い占め」行動が発生してしまうのだろうか。以前から買い占め衝動の問題点を指摘していた、社会心理学者で新潟青陵大学大学院教授の碓井真史氏に話を伺った。 「買い占めは一種の“群衆心理によるパニック”です。買い占めには、段階があります。コロナウイルスの例で言えば、①中国でよくわからないウイルスが発生したらしい→②初期段階で不安に感じ、買い占め行動に走る人が出てくる→③いつも必ずあるはずのマスクがドラッグストアで品薄になっていることに不安を覚えた人が“私も買っておこう”と買い占めをする→④マスクの品薄の話題をマスコミがキャッチして報道し始める→⑤買い占め行動が広まり、品切れや在庫切れが起こってしまう、という流れです」 「⑤まで到達すると、本当にマスクが必要な人に行き渡らなくなってしまう。特に④の報道が始まると、買い占めは加速します。メディアはパニックに関する情報が大好きですから、報道し続けることで多くの人に“マスクを買わないと大変なことになる”という心理を植え付けてしまうのです」