「セクハラは原則降格」パナソニック子会社の厳格なコンプラに広がった不安「ぬれぎぬはないの?」 専門家「認定には適切な段階を踏む」と心配払拭
さらに、パナソニックコネクトは4月からハラスメントがあった場合、人事評価にも反映させるように制度を改定した。定期的に自分を省みる機会を設けることで、ハラスメントを起こさない企業風土の定着を目指している。 ▽いわれなき処分の心配はない 大阪市に、年間1千件を超えるハラスメント相談を受ける団体がある。一般社団法人日本ハラスメント協会だ。全国の企業や学校など約85団体と契約し、外部相談窓口の業務委託を受けている。公認心理師などの資格を持つカウンセラー約150人が在籍し、訴えがあれば本人や同僚から聞きとり調査を行う。 ほぼ全ての相談に目を通している村嵜要代表理事に、パナソニックコネクトの取り組みに関してネットで上がった声について聞いてみた。村嵜さんは一般論として、次のように説明した。「認定までに適切な段階を踏むので、いわれなきセクハラで処分を受けるかもしれないと心配する必要はない」。 まず、日本ハラスメント協会に寄せられる年間1千件のうち約95%はパワハラだ。セクハラは約3%で、残りはマタハラや複雑なケース。さらに言えば数少ないセクハラのうち、訴えられた本人が認めるケースは約6割に上る。多くの事例があったり、長期間に及んだりした場合に総合的にセクハラと認定するケースが3割。証拠が不十分で認定されない場合が1割だという。
本人が認めるときは大抵、「ここまでは言ってないし、やってない。でもこれはやった」などと、一部を認めたことをきっかけに事実認定が進むことが多いそうだ。一方、本人が全否定し目撃者もいない場合は認定せず、「誤解されないように気をつける必要がありますよ」などと助言を添える。相談者も、再びセクハラが起きた場合は意識して証拠を集めてくるという。 ▽作り話はぼろが出る 調査を進める中、相手を陥れるために作り話を訴えたことが判明したケースはあるのだろうか。 「うちの協会では今のところない。うその訴えはばれた場合、逆に処分を受ける。雇用契約終了間際や退職直前などでない限り、リスクが高すぎる。仮にうその訴えがあっても、認定までに多くの同僚から聞き取りを行う。本人にもセクハラの時期や場所、周囲にいた人、話の流れなど事細かに聞くので、もし作り話だとぼろが出てしまう。実際にハラスメントを受けた人はそのあたりも鮮明に覚えている」