「テストで90点取っても父は褒めてくれなかった」エリート家庭のお嬢様→“日本初の女ヤクザ”になった西村まこ(58)の「厳しすぎる親子関係」
学校のテストで90点取ってもほめてくれない
たとえば、学校のテストで90点取ってもほめてくれないし、「もうちょっとだったな。次は頑張れよ」などという、やる気を出させるような励ましもありません。100点じゃないと、テレビの裏に立てかけていた竹の棒で、背中などを手加減なくたたかれるのです。わかりやすくたとえるなら、座禅のときに姿勢が悪いと、お坊さんに肩のあたりをピシリとたたかれるアレ(警策のこと)のようです。 子どものころは、父の影を見ると、本当にテストのときはビクビクものでした。テストでいい点が取りたいのは、自己評価や先生からの評価を欲するためではなく、単純に父親の竹の棒制裁が怖かったからなのです。 小学校時代、普通の子は学校が終わると友だちと遊んでから家に帰ります。私の場合は一度直帰してから宿題を終えないと遊びに行けません。友だちと外ではバドミントンやテニス、家のなかでは「こっくりさん」などの遊びをしていました。 友だちが遊びに来ても(結構、母が出すお菓子にひかれて遊びに来ていました)、お菓子を食べたら、私は机に向かって宿題です。これが終わって、ようやく遊びに行けますが、宿題に時間を割かれていますから、遊べる時間は、ほかの子より短いですよね。ちなみに、弟は宿題に手こずって、なかなか終わりませんから、ずっと机の前に座っていました。子ども心に少し気の毒に思ったこともあります。 夕方になると、毎日、判で押したような正確さで、県庁の仕事を終えた父が帰ってきます。すると、父はリビングにゴロリと寝っ転がって小説や雑誌ではない難しい本を読んでいます。そして、母からの「ご飯ですよー」というかけ声を聞くと夕食という流れですが、この食事中もマナーが厳しく、音を立てたら怒られますし、渡し箸、逆さ箸などしても手をたたかれます。
静かな食事、ただ食べるだけで会話のない食事――NHKの白黒画面だけが単調な音を立てている食事って、異様じゃないですか。母の食事もおいしさが半減します。明るく楽しい「サザエさん」風の家族団欒にはほど遠い時間でした。