東京五輪選手村は不安?!豪州五輪選手団は独自の新型コロナ感染予防対策で大会に臨む
それでも医務官であるヒューズ氏は、「日本入国時の空港で感染するリスクがある」と警鐘を鳴らしている。新型コロナウイルスの検査を受けるために、混雑した状況に長い時間さらされているというのだ。実際、ウガンダ選手団の中から出た新型コロナウイルスの陽性者は、空港のチェックで判明している。 「(空港が)忙しい場所であることは承知しているが、空港で行われる検査に時間がかかる可能性がある。空港でのそういう時間は避けたいことのひとつだが、ここまでの報告によると、検査に時間がかかっているようだ。大勢の人が東京に入り始める頃には、空港での手続きやプロトコルが確立され、人々の出入りが迅速にできるようになっていることを願っている。屋内で大勢の人で混雑するところは望ましくないからだ」 豪州代表の選手とサポートスタッフは、出発前の14日間に3回の新型コロナウイルスの検査を受け、その後、日本の空港に到着してから再検査を受けることになっている。 6月に入国したウガンダ選手団は、成田空港でコーチ1人の陽性反応が判明。濃厚接触者の疑いがあるまま、残りの選手はバスで大阪まで移動した。また7月3日には、セルビア選手団5人のうち1人が羽田空港での検疫で陽性反応を示した。 これらの例があるため、空港での水際対策を強化し、海外から新型コロナウイルスが持ち込まれないように厳重に注意しなければいけない。しかし、その一方で、各国の選手団は降り立った空港での検査と手続きに時間がかかることで感染リスクが高まることに不安を感じている。空港が感染の火種とならないようにスムーズな検査システムを作りながら、なおかつ陽性者を漏らさないように捉えるという極めて困難な課題に直面しているといえる。 他国の医療の専門家も五輪期間中の感染リスクに警鐘を鳴らす。 「ザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文を投稿したニューヨークのマウントサイナイ医科大学の公衆衛生専門家、アニー・スパロー博士らは「大規模なイベントを成功させるために働くトレーナー、ボランティア、関係者、交通機関やホテルの従業員など、何千人もの人々を、このプレーブックでは十分に保護できないと考える」としている。 選手たちは外部と隔離されて選手村に滞在するが、選手村で働くスタッフの一部は自宅など外部から通うという矛盾を抱えている。選手村の外で感染したスタッフから選手が感染する可能性もあるが、選手らからスタッフに感染し市中に広がるリスクもあり、新型コロナウイルスは「プレーブック」の抜け穴を通り抜けて広がる恐れがある。 今日8日にはIOCのトーマス・バッハ会長が来日。5者協議が開かれ、無観客開催問題などが協議される方向だが、「安全・安心」な大会を運営するためには不備が多く、豪州代表団に習い、独自の感染対策を練っていく国が、他にも増えていくのかもしれない。 東京都の感染者は再び増加傾向にあり、政府は今日にも4度目となる「緊急事態宣言」を発令する方向。都民に不要不急の外出自粛を呼びかけ、飲食店に過酷な制限をかける「緊急事態宣言」下で、「安全・安心」を唱って東京五輪が開催されるという異常な状況となる。