素材菓子で食品ロスを削減 捨てられていたブロッコリーの茎に着目
素材菓子市場は、クラシエの「甘栗むいちゃいました」のようなむき栗商品やカルビーの「miino」といった豆菓子、梅や海苔、カットしたドライフルーツなど幅広い商品が展開されている。なかでもコロナ禍を経て健康志向が高まる中、スナック商品では食物繊維などの含有成分を訴求ポイントに、キノコやゴボウ、レンコンなどの野菜素材を使用した商品が目立つ。指定野菜に登録され注目が集まるブロッコリーに着目し、通常捨てられる“茎”をスナックにした商品も登場した。栄養価だけでなく、食品ロス削減にも貢献する商品として新たなトレンドを創出しそうだ。
大手卸の日本アクセスが健康食品メーカーと共同開発
健康食品メーカーの医食同源ドットコムと食品総合卸の日本アクセスは、手軽に食べられる健康的な菓子の開発に着手。23年3月に発売した「しいたけスナック」や同年8月に発売した「オクラ&長芋スナック」が好調なことから、第5弾となる「ブロッコリー茎スティック七味醤油マヨ味」(45g 398円)を今秋から投入している。 ブロッコリーは通常、花(つぼみ)の部分が食べられる。冷凍野菜などに加工する時にもカットされて茎の端材が大量に出る。さいの目状にカットして食品の具材や飼料に使う用途はあるが、脇に出た枝の部分などもあって廃棄部分も多い。ブロッコリー全体の約35%が茎で、つぼみだけを食べて茎を捨てると3分の1を無駄にすることになる。エシカル消費やSDGs、アップサイクルが商品の+αの価値となる中、茎をスナックにすることで捨てる部分を減らし、食品ロス削減への貢献を目指す。 同品は、七味のピリッとした辛さが醤油のうまみと合わさり、マヨネーズのクリーミーさが加わることで、全体的に辛味と塩味を抑え、連食が可能なバランスの取れた味わいに仕上げた。食物繊維は一袋当たり7.7g、ビタミンC24.8g含まれ、手軽に栄養摂取ができる。サクッと病みつきになる食感にもこだわった。 日本アクセスの西潟修治審議役商品統括・マーケティング管掌補佐は「なじみのある素材が購入動機になる」という。今後は値ごろ感ある価格ラインを目指し、トライアルしやすい小袋の展開を早期に実現。「一度手に取っていただける価格帯の商品を早めに投入して、リピート率を上げる」意向だ。 日本アクセス単体の23年度菓子事業はこの3年間で35%以上成長した。グループ全体でも1000億円を超える規模で、菓子卸業界の中では5位に入る。「専売品は約100SKU前後をハンドリングしているが、単純に増やすのではなく売れる精度を高めていく。専売品を見てストアブランドの採用に発展するきっかけを作り、最終的にはNB商品の扱いを広げていきたい」とさらなるシェア拡大を目指す。
日本食糧新聞社