最後まで攻め切った大里桃子が3年ぶり3勝目「宮里藍 サントリーレディス」
「宮里藍 サントリーレディス」の最終日、首位から1打差の2位タイで出た大里桃子が67でプレーし、逆転で今季初優勝(通算3勝目)を飾った。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からのレポートをお届けします。
フェードで難しいピン位置を攻め切った
最終日の天候は曇り時々雨、気温20.7度、南から4.1m/sの風が吹くコンディションになりました。8アンダー単独首位の内田ことこ選手から3打差以内には、岩井明愛、千怜、高橋彩華、山下美夢有、小祝さくら選手らの11人がひしめき誰が勝つのかまったく読めない展開が続きました 実測200ヤードの3番パー3はバンカー越えの左から4ヤード、手前から34ヤードの左奥に切られた難しいピン位置。大里選手は左に外しボギーとします。 ラウンド後に大里選手とコンビを組んだ島中大輔キャディは「練習ラウンドで同じピン位置を想定して5Wのカットで上手く行けたのですが、逆球(フェードを狙って左に曲がる)が出て左に外しボギーとしました。僕のアドバイスミスでしたが、(難しいピン位置から)逃げてないから」と話すと、大里もうなずき次のパー5でしっかり取り返してくれたといいます。
大里選手は、6番、7番を連続バーディとし、これまで3日間のトータルで最難関ホール9番をパーで切り抜け、9アンダーでターンします。5アンダーでスタートした山下美夢有選手は、前半は2つのバーディで7アンダーまで伸ばし、内田選手は1つ伸ばして9アンダー、吉本ひかる選手は7アンダーで折り返しました。 勝負のサンデーバックナインに入ると、どの選手も14番までは小康状態が続き、14番で内田選手がボギーに対して大里選手はパーを並べると、終盤の15番で88ヤードから54度のウェッジで2.5メートル、16番パー3で左の池の横に切られたピンを攻めて8メートルを決め、最終ホールでも左の池の近くに切られたピンを攻め、131ヤードの2打目を9番アイアンで1.5メートルに寄せてバーディとし、上がりを3連続バーディで終えた山下選手に2打差をつけての優勝となりました。 リーダーボードを見ずに自分のプレーに集中し、バンカー越えや傾斜近くに切られた難しかったピン位置に対して逃げずに最後まで攻め切った大里選手に勝利の女神は微笑みました。 4日間を通してグリーンが硬く速く、難しいピン位置に対してはティーショットをフェアウェイに置くことが必須条件になっていました。大里選手はFWキープ率は全体の3番目、パーオン率は全体の2番目のスタッツを記録していましたが、昨年にショットの不振からフェードヒッターにチェンジし、オフにはトレーナーと取り組んだ痛みの出ないスウィングへの改善で今季は好調を維持して来ていたと話します。 島中キャディによると「ロフト30度の6UTの方向性と距離感が抜群だった」と、セットしている4・5・6UTを見ると、ピン「G410 ハイブリッド」にスチールシャフトのNSプロ850GHのSシャフトを組み合わせていました。女子プロでUTにスチールシャフトを使用するのは珍しいのですが、アイアンが得意な大里選手にとってアイアン感覚で打てる3本のUTが大きく貢献したと教えてくれました 3年ぶりの勝利に合わせて「AIG女子オープン」(全英女子オープン)の出場権もゲットし、「久しぶりに全米女子オープンを2位で終えた渋野に連絡して、練習ラウンドをお願いしようかな」と、初の海外メジャーに向けて期待も膨らみます。 今大会2位までの選手にも全米女子オープンの切符が渡されますが、2位の山下選手は既に権利を得ていますので3位タイで終えた吉本ひかる選手に、メルセデスランキング上位3位までの資格では竹田麗央、小祝さくら、岩井千怜選手が切符を手に入れることになりました。 「若い世代に追い出されて」シード落ちした大里選手が前週優勝の新垣比菜、渋野日向子選手など同世代の活躍を刺激に復活優勝で終えた「宮里藍 サントリーレディス」となりました。次週「ニチレイレディス」ではどんな選手が活躍するか引き続き注目していきましょう。 写真/有原裕晶