年金が減っても幸せです。「年金月18万円」だった60歳定年サラリーマン、「繰上げ請求で年金24%減額」でもホクホク顔で生きられるワケ
年金は減ってもいい…繰上げ受給を選んだ理由
年金が減るはずなのに、なぜ、繰上げ受給を選んだのでしょうか? ――実は、52歳のときにがんになっているんですよ、大腸がん。初期のものだったので手術して。いまのところ再発もなく元気で生きているんですが ――死生観が変わりました。それまでは、当たり前のように平均寿命で人生を考えていました。80歳くらいまで生きるんだろうなと ――がんになってからは、いつ人生が終わっても悔いのないように生きなければという気持ちが強くなりました 65歳まで待って年金をもらおうとしても、それまで生きているとは限らない。受け取れるうちに受け取り、生活を充実させようと考えたのだとか。おかげで「年金が減っても幸せです」と、加藤さんはホクホク顔。また勤めていた会社では60歳定年後、希望すれば継続雇用で70歳まで働くことができ、実際、ほとんどの人が定年以降も働くそうです。ただ加藤さんは、60歳で会社を去ることを決断。現在は、学童保育のスタッフとしてアルバイトをしています。 ――ずいぶん前に子育てを卒業しているけど、その経験が生かせるかなと思ったんです。元気な子どもたちと一緒にいると若返りますね(笑) 時給は1,220円。1日4時間勤務で、月に7万~8万円の収入になります。妻のパート代を合わせると、夫婦で月15万円ほどの収入になるとか。それで賄えるよう、毎月の収支もサイズダウン。普段は質素な暮らしを心掛けているといいます。 ――毎日は質素でも、メリハリが大事。私も妻も寺社巡りが好きなので、3~4ヵ月に一度、2、3泊の旅行に出かけています 厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、基礎年金だけ受け取れる人で繰上げ受給を選択している人は10.8%。この5年で2ポイントほど減少しています。一方で繰下げ受給は2.0%と少ないものの、この5年間では増加傾向にあります。また、厚生年金も受け取れる人で繰上げ受給を選択している人は全体の0.7%。一方で繰下げ受給は1.3%。どちらもこの5年では増加傾向にあります。制度の認知度が広まるにつれ、自身の事情に合わせて年金の受け取り時期を選ぶ人が増えています。 年金の受け取り開始時期によって、受取額は減ったり増えたりしますが、加藤さんのように熟考したうえでの結論であれば、後悔はなさそう。複雑怪奇な年金制度ですが、しっかりと仕組みを理解したうえで、賢く利用したいものです。 [参考資料] 厚生労働省『年金制度の仕組みと考え方~第5 公的年金制度の歴史』 厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』
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