選択の果てで見つけた表現の道 障害者のパフォーマンス集団「態変」主宰、金滿里さん あの日から④
それから3年半後の昭和58年、「劇団態変(たいへん)(現・態変)」を立ち上げた。車いすや補装具など、障害者の社会参加に必要な器具をかなぐり捨て、一部が欠損したり曲がったりした体の線があらわになるユニタード姿で、前衛的な抽象身体表現を行うパフォーマンス集団だ。
国内外で高く評価される態変の舞台は、障害者が不自由な身体を解放して自由に、挑発的に躍動している姿を目撃することで、健常者側も社会に縛られ抑圧された自身の心身の不自由さに気付くという、不思議な時間でもある。「社会の中で役に立つとか立たないとかとは違うところで存在している障害者の面白さに気付くことが、お互いに世界観が変わってええんちゃう」
自分の人生を生きようともがくことで、人の心を打つ「表現」という道を見つけた。「私は2つの道を迫られた場合、いつもしんどい方を選ぶんです。正しいことってきっと苦労する方だから」。19歳のときから変わらない信念を、今年の公演でも貫くつもりだ。(田中佐和)