ラネージュはどのようにティームー上の模倣品に対抗したかVol.2:デ・ミニミス規則とMoCRAによる規制強化の行方
ティームーは、2022年末に米国でローンチしたピンドゥオドゥオ(拼多多/Pinduoduo)が所有しているが、Glossyの姉妹パブリケーションである米モダンリテールが報じたメディア攻勢のおかげで、すでにだれもが知る名前となった。 たとえば、ティームーは昨年9月から12月まで全米国内の広告費に5億1700万ドル(約795.4億円)以上を投じ、1969年の月面着陸以来もっとも視聴されたことしのスーパーボウルでは、どのブランドよりも多くの広告を掲載した。 2023年の決算報告によると、ピンドゥオドゥオの売上は2023年にほぼ倍増している。
ティームーの模倣品対策とデ・ミニミス規則の抜け穴
「ラネージュのブジタット氏はテムを模倣品対策におけるパートナーと呼び、同サイトが出品削除に参加している」と米Glossyに語った。しかし、削除の組織化にはブランドからの膨大なリソースが必要だ。デジタルマーケットプレイスの世界では、ブランドは自らを守らなければならない。ティームーからはこの記事に対するコメントや協力は得られなかった。 レッドポインツのようなIPベンダーは、AIを活用して出品商品を選別し、キーワードや画像から偽物を見つけ出し、マーケットプレイスサイトに削除依頼を出す。それでも商品が消費者の手に渡ってしまうのは、ティームーの低価格流通戦略のためだ。 ティームーは米国を拠点とする配送センターを使用せずに、海外から米国の消費者に直接発送しているため、小包は「デ・ミニミス(非課税基準額)」の抜け穴に落ちる。つまり800ドル(約12万円)未満の小包は免税となり、米国税関の監視も緩くなるため、偽造品や違法品、あるいは強制労働や児童労働のようなさまざまな人権侵害につながる可能性のある製品を持ち込むことができるのだ。 この抜け穴を根絶しようとする委員会の委員長を務めるウィスコンシン州のマイク・ギャラガー下院議員は昨年の声明で、「ティームーとシーインは、我が国の輸入規則におけるデ・ミニミスの抜け穴を利用して帝国を築き、輸入税を逃れ、米国人に販売する何百万もの商品に対する監視を逃れている」と述べている。 現在、この抜け穴を塞ごうとする超党派の取り組みが行われており、それによって偽物が減り、ティームーの価格が上昇する可能性がある。だがタイム誌が2月に報じたように、同法案は現在議会で審議が行き詰まっている。