ラネージュはどのようにティームー上の模倣品に対抗したかVol.2:デ・ミニミス規則とMoCRAによる規制強化の行方
MoCRAによるFDAの権限強化と化粧品輸入規制の未来
もうひとつ可能性のある解決策は、化粧品規制近代化法(Modernization of Cosmetics Regulatory Act、以下MoCRA)によるFDA(米国食品医薬品局)の権限強化にあるかもしれない。FDAの担当者は米Glossyに対し、「輸入化粧品は国内で製造された化粧品に適用されるのと同じ法律と規制を遵守しなければならない」と話す。 「すべての輸入化粧品は州をまたいだ商取引とみなされる」と述べた。苦労しているのは、それらを追跡して阻止することだ。 食品システムの安全性を高めるためにFDAが取り組んでいる方法のひとつに、輸入警告がある。FDAは、今年MoCRAが完全に展開されていく中で、将来的には化粧品にも適用する可能性があると米Glossyに語った。 たとえば、製品を輸入する際には送り主が輸入申告書に記載した製品コードや、送り主の過去の違反歴などに基づいて審査が行われる。ワシントンD.C.にあるギブソン・ダン&クラッチャー(Gibson Dunn & Crutcher)のパートナー、カトリン・マッケルヴィ弁護士によると、その後、税関・国境警備局がFDA規制の製品を含むパッケージをFDAに照会するという。
偽造品対策の新たなステージ
ところが現在、「FDAは化粧品や医療用製品を米国に輸入する際、事前通知を義務付けていない」と同氏は述べた。「対照的にFDAは法律上、米国に輸入される食品に対して事前通知を義務づけている」という。 「これは食品にすでに適用されているプログラムの拡大であり、化粧品を輸入警告にかけることは、FDA職員がそれらの製品を物理的に検査することなく留置することを可能にする」とマッケルヴィ弁護士は米Glossyに述べた。 消費者に届く前に海外のベンダーからの潜在的に危険な製品にフラグを立てることは、製品がどこで誰によって製造されたかをFDAに伝える製造業者リスト要件の導入と同じくらい簡単なことかもしれない。これはFDAがMoCRAによって獲得したばかりの新しい権限であり、現在も展開中である。 市場規制の改善を求める超党派の圧力の高まり、活況を呈するデジタルセキュリティ業界、そして危険な偽造品を米国から排除する権限を模索するFDAとの狭間で、米国に届く偽造品の未来は不透明である。しかし偽造品と戦っているブランドにしてみれば、毎日が戦いなのである。 [原文:How Laneige is taking on Temu counterfeiters] LEXY LEBSACK(翻訳:Maya Kishida 編集:坂本凪沙)
編集部