<2.5次元の誘惑>リアリティーから生まれる共感 奥深いコスプレの世界を丁寧に描く 岡本英樹監督インタビュー
「2.5次元の誘惑」はリリサをはじめキャラクターがキラキラしている。
「イメージ、背景もなるべく原作を再現しようとしました。アニメに落とし込んだ時にどうすればよりきらびやかに見えるのか? 撮影と美術に相談して、微妙に動かして光を入れてみたり、逆に動かないようにしたりして、カットごとに感情の重さ、大きさが違うので、それに合わせて微妙な動きを調整しています」
抜群のスタイルのキャラクターも多く登場する。
「原作がそうなのですが、スタイル、全体のバランスがすごくいいんです。実際、コスプレーヤーの写真にしても、露出度が高くても、いやらしく見えるのではなく、格好よく、キレイに見えることがあります。もちろんセクシーなのですが、美しい一枚の絵のようにも見えます。そこを大事にしようとしました。ポーズや表情を変えるタイミングがあって、カメラマンがカメラを構え、一番いい表情、ポーズでシャッターを切るリズム感も出そうとしました。コスプレも撮影も全ては表現です。そこを大事にしたかったんです。奥村の目線だと、マンガやアニメに造詣が深いけど、最初はコスプレのことはよく分からなかった。いい写真を撮るとはどういうことか?などは全て初体験です。奥村がコスプレや撮影にのめり込んでいくところに、共感してもらいたかった」
アニメは2クール目に突入し、リリサたちはコミケに初参加することになる。コミケは同作における大きな見せ場の一つだ。
「2クールないと表現できないことが多い作品です。前半はじっくりキャラクターを深掘りして、10話以降くらいからテンポが上がっていきます。練習試合から地区大会、全国大会……と駒を進めるように、どんどん大きくなっていく中で、夏コミをしっかりと夏コミとして描こうとしています。もちろん人間ドラマが主体ですが、物語をしっかり支えるための土台となるリアリティーをしっかり表現していきたいですね。コミケに参加したことがある人は初めての時のことを追体験でき、行ったことがない人は、こんなに熱い現場があるんだ!と感じていただけるようにしようとしています」
実松プロデューサーの「とにかくこだわる人」という言葉の通り、岡本監督は細部までこだわり抜き、「2.5次元の誘惑」をアニメ化している。アニメでも熱く、暑いコミケが丁寧に描かれるはずだ。