<2.5次元の誘惑>リアリティーから生まれる共感 奥深いコスプレの世界を丁寧に描く 岡本英樹監督インタビュー
◇可愛いキャラクターをどう表現するか?
キャラクターの可愛さ、美しさも原作の大きな魅力だ。
「ファンの方が頭に思い浮かべるリリサや美花莉などは多分一つだと思うんです。そこに共感してもらえないとまずいのですが、最新エピソードのキャラクターを忠実にトレースすればいいのかと言えば、そういうわけではない。リリサのアイデンティティーを構成する部分はどこか? どういうふうに見せれば、この子がキラキラ見えるのか? そこを探ろうとして、キャラクターデザインに丸投げしました(笑)」
こだわったのは光の表現だ。
「光の入り方に力を入れました。原作のカラーイラストを参考にして、リリサだったら、顔の輪郭の部分、前髪、もみあげの辺りを明るくしています。ただ、ハイライトを入れればいいわけではありません。キャラクターの髪の毛量が多く、線も多いのですが、線が多ければ多いほど暗く見えてしまいます。それを緩和する技を探ってもらったところ、一部を少し明るくして、ハイライトの光の量を少し減らして、バランスを取りました。作画で指定して、撮影で調整しています。最近、髪にグラデーションを入れることがあるのですが、その技術を使っています。セルの時代にはできなかったことです」
目も重要な要素だ。アニメならではの動きを付けることで、キャラクターの繊細な感情を表現しようとした。
「基本は原作に忠実に目を描こうとしました。キレイに見せながら、動いても崩れないところはどこだろう?と探っています。リリサはコスプレをする前と後では目の描き方が違います。コスプレ後は特殊な発色にして、差をはっきりさせました。目の動き、視線誘導も大事です。顔のアップになった時、視聴者は、まず目を見ます。そこから感情表情を推し量るので、目力が大事です。少し揺れる、大きく揺れる、泳ぐ、少しまぶたを下げる、ガッと開き、瞳孔がキュッと閉まるなど芝居を大事にしています。それと指ですね。僕がよくやることなのですが、指先や手にも芝居をさせています。顔が見えなくても、指先の動きで緊張を表現するなど、芝居の作り方にこだわっています」