投手?野手?それとも二刀流?近江を8強に導くドラ1候補・山田陽翔の満塁弾&9奪三振にスカウトの間で悩ましい議論が起きる
点差がついたこともあり、114球を投げていた山田は、8回からは星野世那にバトンを渡したが、9奪三振で、昨夏、今春、そして今夏の3大会で甲子園での通算奪三振数は98となった。 “怪物“と呼ばれた江川氏、“平成の怪物“と言われた松坂氏の記録を抜き、通算ランキングで7位に浮上。ちなみに1位は桑田真澄氏(PL学園から巨人)の150。山田が次戦で6三振以上を奪えば、6位の奥川恭伸(星稜・現ヤクルト)の100、5位の田中将大(駒大苫小牧・現楽天)の102、4位の斎藤佑樹氏(早実から日ハム)の104を抜き一気に4位にランクインすることになる。 名将の故・野村克也氏が最も信頼した“右腕”として知られ、阪神ではスカウト、ヤクルトでは編成の責任者としてドラフトの指揮を執った松井優典氏は「間違いなくドラフト1位候補になるだろう」と評価した。 「ストレートの質と、体の強さ、低めの変化球のコントロールなど素材としてはトップクラスだろう。カープで活躍している森下暢仁の大分商時代が重なる。そして山田の特長は、ギアチェンジして、147、148キロを出せるポテンシャルがあり、意識してメリハリをつけることができること。野球IQが高く野球を知っているのだ。腹がすわったようにメンタルが強く主将としてのリーダーシップがある。バッターとしても振る力がある。こういう選手はプロの世界でなんらかの形で主力になっていくものなのだ」 ただネット裏のプロスカウトの間では、ある悩ましい問題が起きている。投手なのか、野手なのか、それとも二刀流なのか。「投手・山田」を評価する声が圧倒的に多いのだが、この満塁弾を見せられば、方針も揺れる。球団、スカウトにより意見が分かれる部分なのだ。 松井氏は、エンゼルスの大谷翔平以来となる二刀流に挑戦させるプランを主張する。 「打者としては、外角への変化球への対応力が弱い。いわゆる振ってはいけないボールにバットが止まらないのだ。内角球への対応もできていない。バッターとしてはどうか?の評価はあり、基本は投手だろうが、球団によっては二刀流を視野にいれてやらせてみればおもしろい。ただ、まだ高校生。入って数年は、体力作りが必要だという面を考えると、まず投手を2年間軸にやらせて、その後、野手の練習を加えながら、3年後、4年後に二刀流として華咲くようなプランを描くのも一手かも。中日の根尾昂のような野手から投手の転向は異例中の異例。同時にすべてやると潰れてしまうリスクもあるので、投手→野手の順で育成するのが順当だろう。BIGBOSS新庄の日ハムあたりだと、そんなプランも可能かもしれない」 近江は18日の準々決勝でベスト4進出をかけて高松商(香川)と対戦する。2回戦で2本塁打を放ったドラフト1位候補のスラッガー浅野翔吾を山田がどう攻略するのか。勝敗の行方を左右するドラフト1位候補対決に注目が集まる。