昭和の株高を感じさせる日本株の変化を捉え5ツ星の高評価、「日本ニューテクノロジー・オープン」運用責任者に聞く
たとえば、エムスリーは、2020年に株価が3倍になり、ファンドのパフォーマンスにも大きく貢献してくれた銘柄です。2020年に株価が3倍になった時にはPER(株価収益率)は100倍になっています。その後は、長期に株価下落基調に入っています。たしかに、2020年当時のエムスリーの業績も良かったのですが、短期間で企業価値が3倍になったり、反対に3分の1になるようなドラスチックな変化はしていないと思います。
ここまで大きな株価の変動をもたらしたのは、市場環境の影響が大きかったのではないでしょうか。2020年はコロナ禍でヘルスケア株の評価が上がりました。加えて、外出禁止になって、在宅で仕事をするなど、IT機器さえあれば、自宅でも仕事ができるということがわかり、ITの力を再認識した人が多かったと思います。もう一つは、景気が急に悪くなりましたので、世界中で超金融緩和を行って、グロース株の評価が上がったということが挙げられます。エムスリーは、この3つの要素が全て追い風になる会社です。そのため、株価に大きく影響し、約3倍になったと考えております。
その後、環境は反転しました。コロナ禍はワクチンが普及して収束し、テレワークでIT機器の販売が好調だったものが、その反動で売り上げが悪化しました。極めつけは、金融緩和が世界的なインフレの引き金になり、インフレを抑えるための金融引き締めが行われ、グロース株にとっては大きな逆風になりました。それらすべてが逆風となり、どんどん株価が下がり続けました。このように、エムスリーの変化というよりも、市場環境の変化が株価に大きな変化を与えていると捉えています。
◆「攻め」と「守り」の売買タイミングを重視
川上:「地球視点」のパフォーマンスに注目してマンスリーレポートなどを読んでいると、最近市場で話題のソシオネクストが2023年に組入上位銘柄となり、パフォーマンスに与えた影響もあったということですが、この銘柄に注目したポイントは何でしょうか?