考察『光る君へ』赤染衛門(凰稀かなめ)の閨房教育、定子(高畑充希)まひろ(吉高由里子)出産、宣孝(佐々木蔵之介)「誰の子であろうとわしの子だ」仰天27話
赤染衛門先生!なにを教えていらっしゃるの?
安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の予言どおり、中宮・定子(高畑充希)が懐妊し、喜びあふれる一条帝(塩野瑛久)。 「なぜ懐妊したことを朕に知らせなかったのだ」 公けにして呪詛されることを恐れたのだろうなと、これまで観てきた視聴者にはわかる。 予言のままなら生まれてくるのは皇子であるということに歯がみする道長と、急遽彰子のお后教育に頭を痛める倫子(黒木華)……そしてやはりこの御方に頼むことになるのかと。赤染衛門先生(凰稀かなめ)お久しぶりです! これまで彰子に勉学はひととおり教えたとのこと、そりゃそうだろうな……左大臣家の姫として、倫子がその辺りの教育に手を抜いているはずがない。26話で伊周(三浦翔平)は「みなの噂によると、挨拶もろくにできぬうつけとか」と言っていたが、性格的にハキハキしていないだけで、うつけ──ぼんやり、暗愚ではないのではないか。 赤染衛門先生による勉学以外のレッスンが始まったが、 「帝を御見上げ申し上げるときは、下から。上へ……」 待って。先生、一体なにを教えていらっしゃるの? 「閨房(けいぼう/夫婦の寝室)の心得は一通りお教えいたしました」 「閨房でのお声については」 先生! 一足飛びすぎます先生! それにしても(自分はいったい何を教えられているのだ……)とキョトンとしている彰子の、なんと可憐なこと。両親が心配するとおり内気なのだろうけれど、この姫が笑ったらさぞかしあでやかな、辺り一面に花が咲くような笑顔ではないだろうか。 この一連の場面で「ん?」となったのが倫子の「勉学は要らないわ」の言葉。 「勉学はもうじゅうぶん」ではなく要らない……? 定子が帝を夢中にさせているのを「色香で操る」と言っていたことといい、倫子は後宮で女御がどうときめかくかを誤解している気がする。このあたりは、第1話でまだ定子が赤子の段階から「入内させるつもりで心して育てる」と言っていた道隆(井浦新)・内裏で内侍としての勤務経験がある貴子(板谷由夏)の夫妻と、今まで後宮政治に乗り出すつもりのなかった道長・倫子夫妻との差だろうか。のちに『枕草子』を読んで登華殿の定子と一条帝、清少納言のやり取りを知ったら「この方向性だったか!」となりそう。 ただ女性の、人間の魅力というのは一色ではないし、彰子が定子を真似る必要はない。土御門殿一門のチャレンジは始まったばかりである。