《猛暑のダメージは秋に深刻化》 「エアコンをつけて寝ていたせいか、朝のむくみがひどい」など夏にバテた体の改善法を東洋医学で解説
病院に行くほどの症状ではないものの、何とかしたい体にまつわる悩み。そもそも、相談するにも何科に行けばいいのかわからないようなことが年を重ねるたびに増えてないだろうか? その悩み、東洋医学なら解決できるかも――。ということで、『謎の症状』の著書もある予約のとれない人気鍼灸師・若林理砂さんに、中国4000年の歴史による医学古典を基に解説してもらった。 【イラストで解説】崩れると…不調になる仕組み、3つのバランスとは?
猛暑のダメージは10月に深刻化する
ようやく秋めいてきたと思いきや、突如暑くなったりと相変わらずの気候不順。体の不調を訴える人が増えている。とはいえ、病院に行こうにも何科に行けばいいのやら。 「東洋医学では、気・血・水という観念があり、いずれかに過不足が生じて調和が崩れたり、巡りが滞ると心身のバランスが崩れて不調や病気になると考えられています」 そう説明するのは、鍼灸師の若林さんだ。つまり、西洋医学と違って、東洋医学は細かく科に分かれておらず、どこに相談していいのか迷うこともない。 「夏バテ症状は、冷たいものの摂りすぎで『脾胃』、つまり胃腸の機能が低下した『脾虚』の状態や、暑さによる体力の消耗や睡眠不足によってエネルギーが不足した『気虚』の状態が考えられます。“気”は、体を温める、筋肉を動かす、思考と記憶を整える、血液と水(津液)を巡らせる、食事を咀嚼し消化して排便させる、免疫にかかわるなど、生命を維持するためのすべてにかかわっていると考えられています」(若林さん・以下同) ◆3つのバランスが崩れると不調に! 気が枯渇した状態が続くと、ようやく過ごしやすくなるこれからの季節に体を動かそうにもエネルギー不足で疲れが増し、心身の衰えが深刻化しかねない。 「解消するには運動や食養生により、夏バテ症状から抜け出すことが必要です」 次からは、いまの時期に多い悩みからよくある悩みまで解決法を紹介する。
【悩み1】寝つきが悪く、疲れがとれません。夏の疲れが続いている気がします」
「夏バテを感じた頃からなかなか寝つけず、夜中に何度も目が覚めます。朝は起きても疲れが抜けず、寝る前より全身がだるく感じます。私、もうダメなのかも」(会社員・56才) ◆【回答1】気の巡りを整え、睡眠の質を上げる 「脳と体の疲れをとるには、“質のよい睡眠”が大切ですが、長時間寝ても睡眠が浅い状態が続けば、疲れはうまくとれません。 現代人は頭脳労働者が多いため、脳は疲れていても体はほとんど疲れておらず、深く眠れない傾向にあります。結果、自律神経がうまく機能しなくなり、朝起きると体がだるいという症状が出てしまいます。 人は副交感神経が優位になり、体の深部体温が下がると眠りに入るため、このサイクルを取り戻すことで解決できます。 午前中に、心拍数と呼吸が少し上がる程度の、ちょっときつめのウオーキングや、軽いジョギングを5分ほど行ってみてください。 体を使って交感神経を優位な状態に一度振り切ると、そのあと反動で副交感神経が優位になります。強めの運動をして休憩する、これで、その切り替えスイッチが入りやすくなります。 また、就寝の2時間ほど前に40℃程度のお湯につかって深部体温を上げるようにすると、お風呂上がりには体温が下がり始めるので、深めの睡眠がうまくとれるようになります。 東洋医学では、皮膚の表面を素早く巡る気『衛気』は、入眠時には体内に速やかに格納され、目覚めるときには体表面に出てくると考えられています。運動により気血を巡らせ、発汗して津液を発散させることで衛気の巡りが整ってよく眠れ、疲れもとれるようになりますよ」