考察『光る君へ』赤染衛門(凰稀かなめ)の閨房教育、定子(高畑充希)まひろ(吉高由里子)出産、宣孝(佐々木蔵之介)「誰の子であろうとわしの子だ」仰天27話
超有名、屏風歌エピソード
彰子入内の屏風歌!『小右記』『権記』『御堂関白記』『栄華物語』ほか当時の記録に残る、超有名なエピソードである。 斉信(金田哲) ふえ竹のよふかき声ぞ聞こゆなるきしの松風ふきやそふらむ (夜が更けて趣深い笛の音が聞こえてきます。岸の松もそれに合わせて松風を吹き響かせているのでしょうか) 公任(町田啓太) むらさきの雲とぞ見ゆる藤の花いかなる宿のしるしなるらむ (藤の花が、紫色の雲にも見まごうほど美しく咲き誇っています。どのような家の吉兆なのでしょうか) 花山院(本郷奏多) ひなづるをやしなひたてて松が枝の陰にすませむことをしぞ思ふ (大切に育てた雛鶴を松の枝の陰に住まわせたいという願い、そのことをしみじみと思います※愛娘を入内させる親の気持ちを慮っている) そして清書は行成(渡辺大知)という豪華さ。 古典好き、歴史好きとして胸が高鳴る場面だった。実資(秋山竜次)がきっぱり断ったのは史実で、ドラマ内では「へ、へえ……花山院までも歌を……これはこれは」とコメディタッチで後悔している様子が描かれたが、権力におもねることのない彼の姿勢は、まさに「実資らしい」と後々までの評価に繋がるのである。
皇子誕生
長保元年(999年)11月、定子のお産場面。前の脩子内親王のお産(23話)のときは誰も周りにおらず清少納言(ファーストサマーウイカ)と定子ふたりきりの静けさが印象的だったが、帝の庇護下に置かれた今は大勢の女房たちが慌ただしく動き、僧侶たちの読経の声が響き、定子の兄弟……伊周と隆家(竜星涼)が弓の弦を鳴らす。 漫画『あさきゆめみし』(大和和紀)で見たやつ! となった。弦を鳴らすのは鳴弦の儀といい、魔除けとして行われた。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)でも、上総介広常(佐藤浩市)が万寿誕生時に鳴らす場面があった。現代の皇室にも、皇子皇女誕生後の読書鳴弦の儀として伝わる。 無事に皇子が生まれ、安堵する清少納言、一条帝。 「皇子かぁ」と露骨にがっかりする東宮・居貞親王(いやさだしんのう/木村達成)。 皇子が東宮となったらと復権を口にする伊周、皇子が東宮になるってことは一条帝が譲位し居貞親王が即位するってことじゃん? 定子の後ろ盾がなくなるってことじゃん? と正論を言う隆家……皇子誕生がもたらす影響が浮かび上がる。 しかし、とりあえず野望をメラメラさせるのも兄弟喧嘩も他でやってくれ。お産を終えたばかりの定子が気の毒だ。