竹内まりやとTM NETWORKのデビュー作、時代によって左右されるポップ・ミュージック
ポップ・ミュージックは時代によって左右されていく
静かな伝説 / 竹内まりや 流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。 最初から成功を手にした人とそうじゃなかった人がいると申し上げましたけども、そういう意味では2人とも後者に近かったということになりますね。TM NETWORKのデビュー・アルバムは全くオリコンに入らなかったですからね。誰もやってないバンド編成とイメージ戦略というのが、あまり理解されなかった。でも、オリジナリティはちゃんと残っている。その分、時間がかかったんですね。 まりやさんはああいう出会いの中でデビューして、音楽的には当時からクオリティは群を抜いていたわけですけども、やっぱりその時代の流れの中に合わなくて、1回そこから身を引かざるをえなかった。評価もされたし、一定の成功も収めたんですけども、自分の望んだ形じゃなかった。でも、あそこで参加したアーティスト、作家の人たち、ミュージシャンの人たちのやろうとしたことが今になってシティ・ポップとして評価されている。このへんが時代の流れのおもしろいところでしょうね。TM NETWORKも機材の進歩によって誰もやったこともないバンドとして評価されるようになった。ポップ・ミュージックは時代によって左右されていきます。 私事でありまして『80年代音楽ノート』という本が3月の終わりに出ました。発売が集英社で、集英社の系列のホーム社というところが作ってくれました。この番組で80年代ノートというのを以前放送したのですが、それが基になっています。共同通信という配信の通信社で連載していた。80年代を一年ごとに追う形で100回連載したんですけど、それに手を加えた本ですね。まりやさんのこともTM NETWORKのことも、それからよくこの番組で取り上げているいろいろなアーティストが、その都度、その都度出てきます。80年代というのはどういう時代だったのか。シティ・ポップだけじゃなかったんだよというのが入口ですね。あれがむしろ傍流だった。じゃあどういう時代だったのか僕に話をさせてください。そんな始まりであります。 この本の発売記念イベントというのが5月23日、東京代官山の蔦屋で行われます。トーク・イベントに出ていただけるのが、作家の重松清さん。あの直木賞作家・重松さんが相手してくれるんですね。本に推薦コメントも寄せてくれています。実は彼は80年代本当に音楽少年で、この番組に登場するようなアーティスト、それから僕が書いていたアーティストが本当に好きで、僕の原稿も読んでくれていたという。ありがたいなあということに尽きるそういう方なので、いろいろな思い出話とか音楽について書くということはどういうことなのか。そんな話も最初で最後の機会なので、重松さんも打ち上げなんかやれないくらいに真剣に喋りますと言ってくださっております。配信があるので、東京行けないよという方も配信でご覧になっていただけるとと思います。よろしくお願いいたします。来週はデビュー・アルバム特集の最終回です。 <INFORMATION> 田家秀樹 1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。 「J-POP LEGEND CAFE」 月 21:00-22:00 音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストにスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。 OFFICIAL WEBSITE : OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765 OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO radikoなら、パソコン・スマートフォンでFM COCOLOが無料でクリアに聴けます! →
Rolling Stone Japan 編集部