中村悠一は“七色の声”を自在に操る声優だ 『チ。』バデーニから『わんぷり』大福まで
オクジー×バデーニのバディが魅せる“化学反応”
とりわけ印象的なのが、オクジーとバデーニが織りなす独特のバディ関係だ。稀代の「天才修道士」である彼と、オクジーとの出会いは、本作の重要なターニングポイントとも言える。中村自身も「少しずつ絶妙に変化していくバデーニを演じるのは面白かったです」と語っているように、この関係性の中で少しずつ、けれど確かに揺れ動くバデーニの心境の変化は今後の作品の見どころとなっていく。 特に原作を読んだファンなら、第4巻の終わりでバデーニがオクジーへ向けて紡ぐ“ある言葉”を、中村の声で聞けることへの期待は否が応でも高まるだろう。第5話のラストから、中村がいかにしてバデーニという人物を紡ぎ上げていったのか。その演技の変遷を、これから話数を重ねながら丹念に見届けていきたい。 また、バデーニの特徴として外せないのが、知識が豊富なゆえの、その圧倒的な台詞量。本作は元より非常に情報量の多い作品であり、アニメ化に際して部分的なカットや再構成は避けられない。しかし、バデーニの類まれな博識ぶりは第5話以降の重要な要素であり、それがアニメでどのように表現されるのかも、大きな注目ポイントの一つとなっている。 歴史を超えてラファウからバトンを受け取り、動き出すバデーニとオクジー。全くタイプの異なる二人が歩む姿もまた、必ずや私たちに教えてくれるはずだ。「この地球は生きるに値する素晴らしい何かだ」と。
すなくじら