【雨宮塔子アナ(53)】自己主張しないと生きていけないパリでの子育て「子どものことでは立ち向かいました」|STORY
「今日着ているのは5年以上前に買ったセリーヌのシャツワンピース。真っ白な清潔感を保つための努力は惜しみません。私は仲間内ではちょっとしたシミ抜きの達人(笑)。 白さキープには自信があります。バングルも20年ほど愛用しているエルメス。両方とも セリフヴィンテージですね(笑)。フランス人がヴィンテージを大切にしているところにはとても共感しています。ポーチがついたベルトはだけは比較的最近(とはいっても2,3年前(笑))ワードロープに加わったJAC QUEMUSのもの」
うっとうしくても主張できないとパリでは生きていけない
昔から海外旅行ででは、みんなが洋服やバッグなどを買っているそばで食器やファブリックを中心に見てまわっていたほどアートなもの、美しいものに興味がある方でした。パリで美術史の勉強がしたいと一念発起して移住したものの、苦労したのは自己表現の仕方の違い。日本人特有の控えめで奥ゆかしくて謙虚が美徳という感覚はフランスでは通用しません。どれだけ自分の意見を持っているか、それを自己主張できるか。どんな場でもディスカッションが繰り広げられるフランスでは、自分の意思が中途半端だと意見がないとか、参加していないみたいに思われて、渡り合っていけないのです。 その文化、感覚の違いは子どもが生まれてから特に顕著にのしかかってきました。多人種国家のフランスとはいえ、フランス語を言語としていない人種はただでさえ言語的ハンデもあります。学校側と親とのコミュニケーションでこちら側が正当な主張ができないと子どもに切ない思いをさせてしまうことにも繋がるので、子どものことでは本当に戦いましたね。アナウンサーという職業柄、どちらかというとつい聞き手にまわりがちでしたが、そんな自分の習性を矯正するがごとく(笑)、必死で立ち向かいました。アジア人がフランス語で何かわめいてるな、といったように思われていたでしょうが、それでいい。学校でも病院でも、子どもに関係してくる場面では、しつこいくらい、うっとうしいくらいに食い下がりました。元々メンタルは強めの方でしたが、パリでもかなり鍛えられた気がします。 今は他の国に留学している長女も、大学生になった長男も、そんなアイデンティティ重視の国で育ったおかげで、自己解像度の高い、コミュニケーション上手な人間に成長してくれた気がします。子供がそれぞれ交友関係を築いてくれたおかげで、私もママ友の輪に溶け込めました。