トム・クルーズも乗り回す空飛ぶ「スポーツカー」ホンダジェットの機内は想像以上に静かだった 〝ゲームチェンジャー〟と期待する新型機の性能とは
自動車や二輪車メーカーとして知られるホンダは小型ビジネスジェット業界のパイオニアでもある。2015年に世に送り出した「ホンダジェット」は主翼の上にエンジンを置く画期的で独創的なデザインだ。2021年まで5年連続このクラスの納入数で世界トップを記録し、今年1月末にはシリーズ累計250機の納入を達成した。日本人にもなじみの深い俳優トム・クルーズも購入し、自ら操縦しているという“空飛ぶスポーツカー”に乗ってみた。(共同通信ニューヨーク支局 杉山順平) 【写真】新型機「ホンダジェット・エシュロン」のイメージ
▽プライベートジェットの空港 米東部ニュージャージー州にあるテターボロ空港は、ニューヨーク・マンハッタン中心部から十数キロの場所にある。利便性が高く、24時間運用の国際的なプライベートジェットの主要空港として知られる。世界中の政財界の要人たちが利用し、トム・クルーズもテターボロ空港からホンダジェットを自ら操縦して映画の撮影現場に通ったと言われる。 曇り空の3月上旬。午前7時過ぎに、空港の建物に入ると20メートルほど先のガラス扉の向こうに滑走路が広がる。仕事での出張なのか、ネクタイ姿のビジネスマン2人がロビーでコーヒーを飲みながら談笑していた。プライベートジェットの空港なので手荷物検査はなく、離陸時間ぎりぎりまで自分の時間を使え、事前申請すれば国際線も利用可能だという。 ▽目的地はノースカロライナ この日、試乗する「ホンダジェット エリート2」で向かうのは、米南部ノースカロライナ州の中北部にあるグリーンズボロだ。ホンダジェットの開発を手がけるホンダの米子会社「ホンダ エアクラフト カンパニー」の所在地で、テターボロ空港から約730キロ。片道90分程度かかるという。ちなみにノースカロライナ州の東端には1903年にライト兄弟が人類初の有人動力飛行に成功した地キティホークがある。 午前8時過ぎ。ロビーのガラス扉を通り飛行場へ歩いて出ると、複数の機体が離陸の準備をしていた。搭乗する白をベースにしたホンダジェットに近づくとパイロット2人が目視で機体チェックしている。尾翼に書かれた「N420LR」が車のナンバープレートのような役割を果たしており、このジェット機の識別番号になるという。