「切るように指示していない」旧ビッグモーター街路樹伐採、元役員が無罪主張 現場には今も切り株が放置
●「突如として消えた街路樹」
現場となった「ビッグモーター川崎店(閉店)」までは、JR川崎駅から直線距離で東側に約4km。日本の四大工業地帯の一つ、「京浜工業地帯」にほど近い川崎市の臨海部エリアにあった。 今年5月、「ビッグモーター」は伊藤忠グループなどに買収され、新会社が設立され、1980年の商号変更から44年続いた看板をおろした。騒動後、一部店舗は閉店しており、現場となった店舗も含まれていた。 営業当時の写真では、青色に白抜きで「BIG」と書かれた大きな背の高い看板に、店舗の壁には青色に黄色の帯が走る。店舗前には、多くの中古車が並んでいた。 だが、今は印象的な看板はなく、真っ白で簡素な建物だった。本件もあってか、今年1月で閉店したという。 検察側は、犯行前の19年に更新された「Googleマップ」のストリートビューの写真を証拠として提出。筆者がこの写真を確認したところ、店舗前の歩道上に翠色で背の低いオオムラサキツツジが6本生えていた。 しかし、23年10月に更新されたストリートビューの写真では、突如としてオオムラサキツツジ6本が消えている。確かに、車道からは切断された街路樹と、対角線上にある販売車両が重なってしまい、見にくいかもしれない。
●事件現場の今
筆者は今年12月、事件現場となった川崎市内の店舗跡を訪れた。 店舗跡の目の前は、高速道路と下を連なる幹線道路。東京都大田区から神奈川県鶴見市を終点に、その先が横浜市内まで続く道とだけあって、交通量は多い印象だ。それゆえ、自動車を販売するには好立地だったのかもしれない。 閉店後は、建物の管理会社が運営しているようだが、建物内は物が一つもない、がらんとした空間が広がっており、人気は感じられなかった。 現在、切断されたオオムラサキツツジが生えていた部分には、新たな街路樹が生えており切断跡は無くなっていた。ただ、新たに植えられた部分は、奥にある背の高い街路樹とは異なり、まだ枝が細く若い木のような印象だった。 一方で、少し奥に進むと一か所だけ、本件との関係は定かではないが、切断されたままで放置されていた部分も見受けられた。 閉廷後、元役員の弁護人は取材に対して、LINEの送信は事実としつつも「(Aは)やりとりを誤解しており、勘違いしていた」と話した。 今後、罰金20万円の有罪判決が確定したAなどの従業員らが、公判で証言をする予定だ。