排気量の大きいグレードが「松」なのか? ベストなエンジンを選ぶ考え方
よりハイパワーなチューニングモデルに乗る
さて、最後の試乗会は9月に行われた。この時試乗したのはD4のポールスター・パフォーマンス・パッケージ。ポールスターとはスウェーデンのレーシングコンストラクターで、1996年からボルボの参加するレースにおいて公式パートナーとしてタッグを組んできた会社だ。 レース以外にもボルボ車をベースとしたカスタムカーの製作も手がけてきたが、今年ボルボはこのポールスターのカスタムカー部門を買収して傘下に収めた。そしてこのポールスターが開発したチューニングロムをボルボの純正オプションとして18万8000円で販売し始めた。 現時点でオプション設定されているエンジンはT4、T5、T6、D4で、さらに車種限定があるが、今後順次拡大予定だという。面白いのは、新車でなくても後からインストールできる点で、もちろんメーカー保証がつく上に、燃費や排ガス規制もクリアしているという。 これまでの試乗から、筆者は相当、斜に構えて試乗会に臨んだ。D4ですら力を持て余し気味だったのに、さらにパワーを増し積みしたものがバランス良いわけがない。 しかし、試乗前に資料を渡されてちょっと意外だったのは、D4の場合、このパッケージで上積みされる性能は10馬力に過ぎないという点だ。20万円近いオプションとしては商品力が足りないように思った。しかし、さらに詳細に資料をチェックすると馬力もトルクも発生回転域が下がっている。そんなチューニングはあまりない。 ◎ノーマル=190馬力/4250rpm、40.8kgm/1750-2500rpm ◎ポールスター=200馬力/4000rpm、44.9kgm/1750-2250 いぶかしく思いながら乗ってみて驚いた。D4で感じたエンジンの余剰感が綺麗さっぱり消えていた。踏めば速いが、だからと言ってエンジンルームから不穏な圧迫感を感じないのである。
ボルボによればポールスターパッケージには5つの特徴があると言う。 ・スロットルレスポンスの向上 ・オフスロットルレスポンスの向上 ・変速スピードの向上 ・変速とホールドの精度向上 ・馬力トルクの向上 この中で影響があるとすればスロットルのオン/オフレスポンスだろう。シフトの速度やホールド精度も効いているとは思うが、やはりエンジンレスポンスほどには支配的ではない。 つまりこういうことだ。D4のディーゼルターボは単独で乗っていると、それとはっきり分からない程度にターボラグによる応答の遅れがあった。タイミング的に操作に対して遅れて反応するため、ドライバーは狙ったより出力増加が少ないことに無意識に反応してわずかに操作が大きくなり、その結果、操作から遅れて予期したより強い加速になって現れていたわけだ。思うようにならないエンジンには当然持て余し感を感じる。そのせいで「大金の入った財布」状態になっていたわけだ。