生成AIけん引…「電子部品」好調、上場50社通期見通しの全容
搭載増、電動車向け伸長
ただAIをめぐっては欧州連合(EU)でAI規制法が成立した一方、日本は法規制についての議論が始まったばかりで、生成AIが浸透するには時間がかかりそう。そのため電子部品各社が引き続き期待を寄せるのが車市場だ。電動化により電子部品の搭載個数が増えるためだ。TDKは車1台当たりに搭載するMLCCについて内燃機関(ICE)の場合は5000個であるのに対し、バッテリーEV(BEV)は1万個を予想する。 今後、車市場の伸びを商機と捉える企業は多い。コネクターを主力とする日本航空電子工業は民生機器向けコネクターを車向けにも展開。さらに「海外市場の一層の強化を図る」(同社の村木正行社長)とし、インドでの販路確立や、中国における販売から生産までの一貫体制で市場を開拓していく。 また抵抗器のKOAは40年にも環境対応車(BEV、燃料電池車〈FCV〉、プラグインハイブリッド車〈PHEV〉、ハイブリッド車〈HEV〉)が乗用車の販売台数のうち約74%を占めると推測する。花形忠男社長は「(抵抗器の)使用量は増えていく」とみる。 東海東京インテリジェンス・ラボ企業調査部の萩原幸一朗シニアアナリストは半導体不足の緩和により「24年度は自動車の生産台数の堅調な伸びが予想され、いろいろな部品が必要になる」とし、電子部品各社への好影響を推測する。 米調査会社のIDCによると、24年のスマホの世界出荷台数は23年比2・8%増の12億台、PCは同2%増の2億6540万台と予測する。電子部品の搭載先となる最終製品の数量は車以外も増える見通しで、24年度は電子部品各社にとって追い風となりそうだ。