生成AIけん引…「電子部品」好調、上場50社通期見通しの全容
「サーバー」市場拡大、競争激化
生成AIを活用する機運が高まる中、電子部品各社はAI関連需要を逃すまいと投資を続ける。中でも、AIの推論を支援する「AIサーバー」市場に注目する企業は少なくない。ニデックもその1社で、AIサーバー向けの冷却装置を増産すると発表した。 AIサーバーの設置拡大に伴う電子部品の需要を取り込もうとするのは大手企業だけでない。サーバー向けのICパッケージ基板を手がけるイビデンはAIサーバー向けの需要を見据え、生産能力を引き上げている。同社の青木武志社長は「顧客とのロードマップの共有や信頼関係を踏まえるとトップのシェアを維持できる」と自信を示す。 ただ新光電気工業をはじめとした競合が存在するため、イビデンの青木社長は「(顧客が)マルチソース(調達先の複数化)を考える可能性はある」との見方も示し、今後、市場での競争激化を見込む。 ICパッケージ基板のほかにも、アルミ電解コンデンサーを主力とする日本ケミコンもAIサーバー市場に攻勢をかける。高性能な画像処理半導体(GPU)や中央演算処理装置(CPU)の搭載に伴い、同社が扱う導電性高分子ハイブリッドコンデンサーへの引き合いが増えると予想する。そのため、設備投資を進め、増産体制を整える。 また積層セラミックコンデンサー(MLCC)を手がける太陽誘電の佐瀬克也社長はAIサーバーの普及について「米エヌビディアのGPUを使うようなハイエンドのAIサーバーに搭載されるMLCCの数は従来のサーバーと比べて倍以上。非常にインパクトがある」と指摘する。AIサーバー向けを含む付加価値の高いMLCCを増産する方針だ。 このほか生成AIの普及に伴い、大容量のデータを処理する「ハイパースケールデータセンター(HSDC)」で使う光通信モジュールコネクターの需要も高まりそうだ。 生成AIの普及により電子部品各社は恩恵を受ける見通し。こうした需要に対応するため、各社は生産能力の増強のみならず、性能向上や販売体制の強化を推し進めていく。