令和のプロレス界を賑わすDDTサウナカミーナってどんな集団? マツコ・デラックスも魅了
髙木三四郎をワゴン車で跳ね飛ばす
サウナカミーナの最年長の勝俣瞬馬(水風呂担当)はリーダー的存在に恥じぬ、まさにユニットのサウナ面を大きく担っている。元々何事もハマりやすい性格のため、サウナ通いを始めた半年後には熱波師の資格を取り、現在はサウナ・スパ健康アドバイザー、サウナ・スパプロフェッショナル管理士も取得。さらに2021年3月には千葉県館山市にサウナ小屋「Sea Sauna Shack」をオープン。 総支配人を務める同店は「サウナシュラン2021」にも輝いている。愛くるしい小動物のような童顔の持ち主ながら、ハードコア・デスマッチを得意とし、流血上等の獰猛さも併せ持つ。ちなみに「水風呂担当」なのは、彼のマイクパフォーマンスのスベり具合が、時に身体を芯から冷やすからとの説あり。 中学生時代にプロレスを行う動画の投稿をキッカケに入団したという異色の経歴を持つMAO(炭酸風呂担当)は、高い身体能力と独創性豊かな戦い方で翻弄し、時には超高所からの危険を顧みないダイブや、現DDT副社長である髙木三四郎をワゴン車で跳ね飛ばすなどの狂気スレスレの一面ものぞかせる。さらに思うことがあれば年上・年下、キャリア関係なく舌鋒鋭く切り込んでいく、まるで破天荒がそのまま人の形になったかのよう。 一方、絵とデザインを得意とし、アパレル「MAOFAC」を展開。どれもハイセンスゆえ出したアイテムは完売続出。さらに現在はレスラーと並行して、ハードコアバンド「Dos Quatro」のベーシストとしても活動中と、知的で芸術肌な面も兼ね備える 「(出会った当初は)ハーフだと思った」とTo-yが述懐するように、まるで童話の王子様が飛び出したかのような色白爽やかでスマート見た目と、新体操仕込みの身体能力と空中戦で魅了する上野勇希(シャワー担当)。正統派な見た目と裏腹に、大阪生まれ仕込みのマシンガントークと仕切り力で、スポークスマンとしての役割も果たしている。 2023年11月にはDDTの頂点であるKO-D無差別級王座を初戴冠、第82代王者として七度の防衛に成功と名実共にDDTの最前線に立つ存在となった。高校の同級であり元サウナカミーナの仲間、現在アメリカのプロレス団体「AEW」で活躍するKONOSUKE TAKESHITAの応援を通じてプロレスラーを志すようになったという歴史も、彼の強さと“エモさ”を際立たせている。 舞台や『天才てれびくん』(Eテレ)でのモノオ役をはじめ、俳優としても活躍中。一見、完璧超人に見えるが、流行には疎く(デニムブランド『LEVI’S』を「レヴィス」と呼ぶ等)、たびたびサカミメンバーに突っ込まれる姿も散見される。 2020年末デビュー、2021年11月に途中加入したTo-y(2024年2月に小嶋斗偉から改名)はメンバー最年少の末っ子的存在。 常にニコニコの笑顔を絶やさず、ほのぼの空気をまとう癒し系なのだが、口を開けば独特の間合いで放たれる不思議ワードとド天然ぶりを炸裂させては、先輩方からの熱いツッコミとイジりを受けている。また、どんな修羅場に置かれてもマイペースぶりを発揮するため、マツコ・デラックスが「お前、ヤバイな‼」とツッコミを入れたほど。 しかし、試合になればハードな打撃にガムシャラな肉弾戦を武器に戦い、先輩だろうが他団体の選手だろうが真正面からぶつかっていく負けん気を発揮。日を重ねるごとに勝利への執念をむき出しにし始め、今年春には若手によるトーナメント戦「D GENERATIONS CUP 2024」で優勝と成長著しい。 今まさにDDT内外でも勢いを感じさせる彼らは、先日11月22日に初フォトブック『交差する熱波』(徳間書店・刊)を発売したばかり。「サウナ旅行」をテーマに、「SeaSaunaShack」で汗を流す一幕から、旅館ではしゃぐ姿に、クールなドレスアップ姿まで、リングでは見られない自然体の彼らをパッケージしている。 日を追うごとにリング内外で存在感を増していく彼ら。何度目かの春を迎えようとしているプロレス界、そして、今や文化にまで成長したサウナ。その二つの熱を合わせて成長を続けていくサウナカミーナは、DDT、プロレス界全体、そしてサウナ文化を強烈で心地良い熱波で包んでくれるだろう。
田口 俊輔