「男性不妊」って?不妊治療を考える前に、あなたの男性機能をチェック!
妊活を始めたけれど、なかなか授からない!? 不妊治療を考え始めた男性に贈る「男性不妊」をよく知るための特集です。 不妊治療をパートナーだけに頑張らせないために、自分で予習してからクリニックへ! 【画像】自分の体を知ろう男性編:精液検査とは 今回は「男性不妊」と「男性機能のチェック」について、辻村晃先生にお聞きしました。
男性機能も年齢とともに低下していく
かつて、男性500人ほどの精液のデータを集めたことがあります。調べたのは子どもができずに悩んでいる男性ではなく、とくに悩みを自覚していない男性たちです。それなのに、精液の量、精子の数、精子の運動率のいずれかがWHOの基準に到達していないケースが、4人に1人という結果に。 現代の男性の多くは生殖に必要な「精子力」「性欲」「勃起力」という三大男性機能が低下しています。理由はいくつかありますが、1つは晩婚化が挙げられるでしょう。2021年の男性の平均初婚年齢は31・0才。精液の状態や精子の数、運動率などは、加齢により低下します。精子の細胞の中にも遺伝情報であるDNAがありますが、年齢とともに壊れやすくなるDNAの断片化が起こります。DNAの断片化が進んだ精子だと、人工授精や体外受精をしても成功率が圧倒的に低くなります。 また、多忙な現代人の生活習慣の乱れも男性不妊の一因です。運動・睡眠不足や食生活の乱れで、血圧やコレステロール値が高くなってメタボの因子を持つと、三大男性機能が下がります。とくに肥満は勃起力を低下させ、精液所見も悪くなります。妊活をスタートさせた今からでも、生活習慣を整えることを心がけましょう。 さらに、寝たきりだと歩けなくなるように、使っていない器官は機能が衰えていきます。性交やマスターベーションを控えすぎると勃起しづらくなります。勃起力が落ちると精液の所見も悪くなるという結果が出ています。
活発な精子の数
日本だけで問題になっている“妻だけED”の実態 もう1つ危惧される症状があります。それは「腟内射精障害」。マスターベーションによる射精はできるのに、パートナーとの性交時だけ射精できない症状を指し、世界中で日本だけで問題になっています。ただの射精障害なら何かしらの病気が考えられ、治療法もあります。でも腟内射精障害は確立された治療法がありません。要因はさまざまですが、刺激の強いマスターベーションをしているため腟内だと物たりない、性交時にうまくできなかったらどうしようと感じる精神的不安などが考えられます。 一度腟内で射精できないと、「またできなかったらどうしよう…」という予期不安で勃起力が下がったり、セックスをしたくなくなったりして、セックスレスにつながる悪循環が起きるケースが見られます。このような場合は、「自分は大丈夫!」と自信を取り戻すことが大切です。医師にバイアグラなどのED治療薬を処方してもらい、まずは薬の力で成功体験を重ねることが有効です。