松本千登世さん&嶋田ちあきさんが回答!日本人のための「これからの美しさ」の作り方
1905年の創刊以来、『婦人画報』が幾度となく伝えてきた日本らしい美意識、文化や精神性、うつくしきもの──。それらに根差した美容の考え方や美容法、そして化粧品にも世界中が注目していることをご存じでしょうか? このたび、それを華道や茶道のように“美容道”と命名しました。美や技を磨くだけでなく、心豊かに幸福に生きること。そして人としての成長を志す、新しい美容との向き合い方です。
「これからの美しさ」って何?
美容賢者の方々へ、まずはこれからの美しさについていま思うことをお聞きしました。多彩な視点から美のヒントをもらいましょう。
美容エディター・ライター 松本千登世さん「世界も注目。いまこそ日本の美容に誇りをもとう!」
茶道の作法にコンセプトを得たブランド、日本古来の発酵技術から生まれた美容成分など、日本が誇る美意識と最新サイエンスを掛け合わせたラグジュアリーコスメが続々登場した昨今。美容エディターの松本千登世さんはどう感じているのでしょうか。 「海外で取材するたび、日本人の肌のきめ細かさや感触への感受性の高さ、その丁寧なお手入れを賞賛されることが少なくありませんでした。一方で、長く海外の美容への憧れを抱いてきた私たちは、外からの評価ほど自信をもてずにいたかもしれません。 しかし、清潔に保つだけでなく肌を慈しんで育むという美意識や、丁寧なステップを通して肌も心も整えるという日本の美容の精神性までもが理解され、さらに、科学に裏打ちされた日本の化粧品会社の高い技術力があと押し。いまこそ胸を張って日本の美容を誇りたい──。五感を満足させ、確かな効果を感じさせてくれる化粧品とともに肌を育みましょう」 まつもとちとせ●客室乗務員や出版社勤務などを経て、雑誌やウェブの記事を執筆。著書に『顔は言葉でできている!』(講談社)など。自ら立ち上げた出版レーベル、BOOK212より初の絵本『ピンクのカラス』を刊行。
ヘア&メイクアップアーティスト 嶋田ちあきさん「素材のよさを見せることを好む、“和食のような”感性。だからこそ肌作りが大事」
嶋田ちあきさんは、40年以上もヘア&メイクアップアーティストとして最前線で活躍。いまなお時代の美を切り拓き続けています。嶋田さんは「日本の女性は個性と向き合うのが上手」と語ります。 「世界の女性はメイクで“違う人になる”のが好きなのですが、日本は独特で“自分を見せる”のが好きなんです。自分らしく、ナチュラル。素材のよさを生かすメイク──。和食の文化に似ていますね」 だからこそメイクアップにおける「これからの美しさ」は、「肌作りが大切」と嶋田さん。 「成熟世代は流行を横目で見ながらも、より自分らしさを出していくこと。いまはよい化粧品が多いので、自分らしさを考えて理解してメイクをする人と、そうでない人には差が生まれてくるでしょう。まずは肌を薄く自然に作る。それから少しトレンドを取り入れてみてください。そうすると若作りではない、いまの自分のよさを引き出すことができるでしょう」 しまだちあき●1957年東京都生まれ。1979年よりヘア&メイクアップアーティストとして独立。俳優やモデルのヘア&メイクを手掛け、雑誌でのメイクレッスンやメイクイベントも厚い支持を集める。著書多数。 編集・文=松永裕美(婦人画報編集部) 『婦人画報』2025年1月号より