JALが断念したコンコルドが“復活”?米国の最新「超音速旅客機」に死角はないか
● 1周回って知らない!コンコルドって何? ここで、前世代の超音速旅客機であるコンコルドについて概要を振り返っておきたい。コンコルドは1960年代に英仏共同で開発し、69年に飛行、76年から定期運航を開始した世界初の超音速旅客機である。 就航していたロンドン~ニューヨーク間を約3時間30分でつなぐ速達性が最大の強み(現在でも同区間はジェット機で約7時間かかる)で、当初はJALを含む世界各国の航空会社から受注があった。翼を広げると、まるで大きな鳥のように見える細長い機体デザインが特徴で、航空ファンには非常に人気のあった機材でもある。 しかし、コンコルドの受注は伸び悩んだ。コンコルドは排気装置に燃料を吹き込んでエンジン推進力を向上させる、アフターバーナー付きのターボジェットエンジンを4台搭載していたが、騒音がひどく大問題となってしまう。 特に音速突入時に発生するソニックブームは、上空から遠く離れた海上でも聞こえるほどの爆音だった。陸上では大迷惑であることから、米国航空当局は同国上空における超音速飛行を全面禁止してしまう。 また、エンジンは非常に特殊な構造のため整備コストが膨大にかかり、通常運航用に加えて加速用の燃料も必要なので燃費が悪かった。航続距離も十分でなく、当時経済力を高めていた日本や香港からの北米路線や欧州路線には投入できなかった。 さらに言うと、細長い機体であるために座席数は100席程度しかなく、コスト面を価格転嫁するためにも、ジェット機による同一路線の100倍もの運賃が設定されることもあった。そこまで高いと、同一路線のファーストクラスよりも高くなってしまう。最上級の機内食が提供されるなど相応のサービスはあったものの、同時期に登場したボーイング747が大量輸送で航空運賃を大幅に下げたこともあり、消費者からすると、とてつもなく割高に感じるものであった。