15,000kmを走って一時帰国。ただいま、5大陸走破の旅、進行中!
5大陸をお遍路スタイルで走破する。そんな個人プロジェクトに挑む猛者にインタビュー! [画像]ウルトラランナーのいいのわたるさん
シューズは当然ながら、ボロボロ
北米、南米、ユーラシア、オーストラリア、アフリカ。この5大陸をお遍路スタイルで自らの脚のみで駆け抜けようとしているのが、ウルトラランナーのいいのわたるさんだ。第1弾は昨年6月から今年3月、アラスカからパナマ運河まで約1万5000kmを走り切った。
北アメリカ大陸 走行ルート
いいのわたるさん/ランニングは社会人になってから始めたというから驚き。『Crossing Switzerland Ultra Trail』(390km・スイス)で2022年に優勝するなど、国際的なウルトラ系レースで数々の勝利を挙げている。
「週に6日、毎日70kmを走るというのがルーティン。ただ淡々と走っていたという旅でしたね」 と簡単に言うが、伴走は食料などを積んだ車一台。それもいいのさんが用意した。スポンサーを見つけ、クラウドファンディングで寄付を募る、いわば手作りの旅。だからとんでもないことも起こる。 「通過しようとした国境が紛争で閉鎖されていて、50km離れたもうひとつの国境へ行けと言われたり、道があるはずなのに、突然崖が現れたり。国境の書類も手配したりして。全部、自分で処理するので、この部分は大変でした」 ただ、走ることでしか得られない貴重な体験もたくさんした。 「南へ走っていると、最初は1色だったのに3色、5色って色が増えていく。花の種類が増えるんです。それにいろんな人が“これ食べな”とか“家に泊まりな”とか優しくしてくれる。同じルートを車で走ったら、あっという間に過ぎてしまってこんなことは体験できない。あと4大陸、6~7年かけて完走します。願えば叶う、若い子たちにそう思ってもらえるように走り続けていきたいんです」
取材・文/鈴木一朗(初出『Tarzan』No.878・2024年4月18日発売)